中国社会科学院、5年後「食糧が1.3億トン不足」

2020/08/18 更新: 2020/08/18

中国社会科学院農村発展研究所は8月17日、中国農村発展報告を発表し、2025年末には中国の食糧が「約1.3億トン不足する恐れがある」と警告した。中国の習近平国家主席が11日、食糧の浪費問題について指示を行ったばかりだ。専門家は、中国食糧不足の実態はさらに深刻であると指摘した。

同報告書は、「十四五(第14次5カ年計画、2021~25年末まで)、中国では、約1.3億トンの食糧不足分が生じる恐れがある」「十四五における中国農村発展の大体的な考えは、『国家食糧安全保障を前提とする』ことだ」との見方を示した。

中国経済学者の何清漣氏は8月17日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に寄稿した。何氏は、中国国家統計局のデータを引用して、中国の食糧自給率は2018年12月時点で82.3%まで下落したと指摘し、「中国の食糧不足分はその17.7%である。国連食糧農業機関が設けた食糧安全水準(食糧自給率90%)に達していない」とした。同氏は、中国当局が品目別自給率、特に穀物自給率は95%であると強調し、国際食糧安全水準より高いと宣伝しているが、「これは、全く違う概念だ」と批判した。

何清漣氏によると、国連食糧農業機関の基準では、中国の食糧不足分は2.52億人の国民が必要とする食糧の量に相当する。

一方、中国社会科学院は報告の中で、食糧不足の原因として「農民の生産意欲低下、農民の持続的な増収の難しさ、農村における高齢化」などを挙げた。

しかし、中国当局による強制土地収用が、食糧不足の主因とみられる。河南省の農家はこのほど、米RFAに対して、「(中国当局が)過剰に開発を進めており、土地を収用している。このため、多くの農家は生産ができなくなった。農村部の若者の大半が都市部に出稼ぎに行ったのだ。それに、都市部での稼ぎは、農業生産より大幅に多いとみんなが気付いているから、労働力がどんどん都市部に流れ、多くの農地は荒れてしまった」と話した。

中国社会科学院の報告によると、「十四五」末になると、中国国内の農業従事者の割合は20%まで減少する。農村部の60歳以上の人口の割合は25.3%(約1.24億人)まで上昇する。

時事評論家の横河氏は8月14日、米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対して、「中国国内では食糧危機がすでに起きている。国営食糧備蓄倉庫にある戦略的備蓄はほぼない状態だ」と述べた。

6月以降、中国国内では、各地の国営食糧備蓄倉庫で相次ぐ不審な火事や、倉庫の警備員による窃盗事件、備蓄量の粉飾事件などが報じられた。

横河氏は、「景気が良いときは、食糧の不足分を海外から輸入すればよい。しかし、今、外貨準備高が激減し、水害やバッタなどの自然災害が続いて、今年の食糧危機はさらに厳しさを増している」とした。

中国国営新華社通信によると、習近平氏は8月11日、「食べ物の浪費は深刻で、心を痛めている」と発言し、「節約を励行せよ。浪費に反対する」との指示を出した。

横河氏は、習氏の発言は食糧不足の深刻さを反映したとし、「中国国民はもうすぐ食卓で実感するだろう」と示した。

(翻訳編集・張哲)

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