10月1日を、心ある中国出身者は国殤日(こくしょうじつ)と呼ぶ。祖国が失われた、悲しみの日である。
▼「国慶節」ではない。1949年10月1日、毛沢東が天安門の楼上から「中華人民共和国」の建国を宣言したその日は、慶事どころか、中国と中国人にとって巨大な不幸の始まりであった。
▼小欄の筆者にも大きな反省がある。筆者が中国に興味を持ち始めたのは、たしか40年ちかく前からだろうか。その頃は、何の疑いもなく共産党中国を肯定的にとらえていた。少なくとも、「あの大きな国を統治するためには、共産党の強権が必要なのだろう」というような、よく知りもしない部外者の認識でいた。まして、毛沢東の愚かな政策により、数千万の餓死者を出した地獄絵図のごとき光景など、想像もできなかった。
▼日本で出ていた現代中国関係の書籍が、おしなべて左向け左だったから無理もない。今でも恨めしく思い出すが、例えば、岩波新書『中国現代史』(岩村三千夫ほか著)には「三年つづきの自然災害をうけても餓死者はでなかった」などの中共賛美が随所に書かれていた。それを読んで「中国共産党は大したものだ」と見事に騙された。
▼繰り返すが、あれは「国慶節」ではない。私たち日本国民は、中国共産党の白々しいもの言いに、寸分たりとも同調してはいけないのである。
▼先に「餓死者が数千万」と書いたが、もしかすると1億をはるかに超えた数字になるかもしれない。その研究結果を発表した勇気ある中国人の老学者が、年金停止などの迫害を受けている。と言うことは、1億超は本当らしい。
【紀元曙光】2020年10月1日
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