米議員 国連食糧計画と中国の関係に警鐘

2024/12/13 更新: 2024/12/13

アメリカのロジャー・マーシャル(Roger Marshall)上院議員を初めとする議員団は、12月11日、バイデン大統領に対し、国連食糧農業機関(FAO)が提案した案に反対するよう求める書簡を送付した。この提案について、議員たちは「中国の農業分野での影響力を拡大する一方で、アメリカの立場を弱体化させる可能性がある」と指摘している。

先月、国連食糧農業機関の屈冬玉(くつとうぎょく)事務局長は、自身の職務権限を拡大する内容を含む提案を提出した。この提案には、事務局長の任期を現行の最大8年から10年に延長し、約30万ドルの給与や手当を増額すること、さらにグローバルな食糧および農業基準の策定における権限を強化することが盛り込まれている。この提案は、アメリカも議席を持つ食糧農業機関理事会で、投票によって採択される予定だ。

屈氏は、国連食糧農業機関に就任する前は、中国農業農村部の副部長を務めていた。国連食糧農業機関事務局長の職は、選挙で選出されるものであり、屈氏は2019年に第9代事務局長に選ばれ、2023年に再選されている。食糧農業機関事務局長は世界食糧計画(WFP、国連が運営する食糧援助プログラム)の運営にも重要な役割を果たしている。

提案書には、屈氏が2019年に事務局長に就任以来、地域事務所の設置、イノベーション部門と主任科学者職の創設、持続可能な開発目標(SDGs)への対応など、国連食糧農業機関の近代化に貢献してきたと述べられている。

しかし、ロシアによるウクライナ侵攻に際し、主要な穀物輸出国であるウクライナの状況を軽視し、緩慢で曖昧な対応をとったことで、屈氏は他の国連加盟国から批判を浴びた。

共同で書簡を出した議員たちは、屈氏の国籍そのものに問題があるわけではないとしながらも、同氏が2019年の就任以降、国連食糧農業機関内で中国出身者が高い地位に就く割合がほぼ倍増していることに触れた。また、同機関が世界的な食糧危機への対策よりも、中国の利益を優先しているような目標を掲げていると指摘している。

書簡には、ロジャー・マーシャル(Roger Marshall)上院議員をはじめ、トレーシー・マン(Tracey Mann)下院議員やビル・ハガティ(Bill Hagerty)上院議員など17人の議員が署名した。

議員たちは書簡で「たとえ政権移行期であっても、中国が国連機関における影響力を拡大している中、アメリカは黙って見過ごすわけにはいかない」と強調した。

また、バイデン大統領に対し、「食糧および農業関連機関の効率性を損ない、中国の影響力を高め、アメリカのリーダーシップを弱める可能性のある提案を拒否する」よう求めた。

さらに議員たちは、アメリカの農家や牧場主、林業従事者を世界の食糧および農業分野のリーダーとして位置付け、アメリカの生産能力と価値観を世界に広めることを要請した。

 

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。
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