米経済対策法案、最低賃金上げは盛り込めずと上院専門員が判断

[ワシントン 25日 ロイター] – バイデン米大統領が提案した時給15ドルへの最低賃金引き上げについて、上院の議事運営専門員(パーラメンタリアン)は、民主党が単独での可決を目指す新型コロナウイルス経済対策法案に盛り込むことはできないと判断した。議員らが25日、明らかにした。

バイデン大統領や多くの民主党議員は2025年までに最低賃金を時給15ドルに引き上げたい考えで、大統領が掲げる1兆9000億ドル規模の経済対策案に盛り込んだ。

民主党は上院で、単純過半数での法案可決を可能にする財政調整措置(リコンシリエーション)と呼ばれる手続きを活用し、共和党の賛成なしで経済対策を成立させることを目指している。

だが、この手続きを活用する場合には法案に盛り込む内容が規則によって制限され、上院の議事運営専門員であるエリザベス・マクドノー氏が判断する役割を担う。

ホワイトハウスのサキ報道官は声明で、バイデン大統領は法案に盛り込めないとの判断に「失望している」とコメント。大統領は「今後の最善の道筋を探るために議会指導部と取り組む。フルタイムで勤務しているのに貧困生活を送る人がこの国にいるべきではないからだ」とした。

上院民主党トップのシューマー院内総務は声明で「困窮の生活を送る数百万人の米国人労働者とその家族を助けるため、最低賃金の15ドルへの引き上げに向けた闘いを諦めない」と強調した。

一方、上院予算委員会の共和党トップ、グラム議員は議事運営専門員の判断に「非常に満足している」とツイッターで表明。「両党とも、財政調整措置を使って主要な法律の変更を単純過半数で可決することはできないということを補強する判断だ」とした。

ただ、経済対策法案に盛り込むことができなくても、財政調整措置を使わずに個別の法案で最低賃金引き上げを実現することは可能。

共和党のコットン、ロムニー両上院議員は23日に最低賃金の時給10ドルへの引き上げを提案。一方、民主党の全議員が15ドルへの引き上げを支持しているわけではなく、マンチン上院議員は2年間かけて11ドルに引き上げる案を示している。

連邦政府が定める最低賃金は現在、時給7.25ドル。最後に引き上げられたのは2009年だった。

ペロシ下院議長は議事運営専門員の判断が下された後に、下院で26日に経済対策法案を審議する際には最低賃金の15ドルへの引き上げが依然、盛り込まれることになると述べた。

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