日本は護衛艦隊の近代化でミサイル防衛強化 イージス・アショア代替
アナリスト等の発言によると、日本は自国領土への脅威の阻止力と防御機能を高めることを目的として、護衛艦隊の拡大・強化を図る構えである。
日本が発表した令和2年版防衛白書によると、監視と哨戒活動、対潜戦、対機雷戦に備えるため、「フリゲート艦(FF)」、「多用途(Multi)」、「機雷・掃海(Mine)」を表す「FFM」という艦首記号を持つ新型護衛艦を2032年までに合計22隻建造する計画が策定されている。
元はヘリ空母として建造されたいずも型護衛艦2隻は、F-35B 12機、ティルトローター機のV-22オスプレイ航空機8機、対潜戦ヘリコプターまたは捜索救助ヘリコプター8機の計28機の航空機発着が可能となるように改修されている。
現在、海上自衛隊はイージスシステム搭載ミサイル護衛艦8隻を運用しているが、最近、日本防衛省は弾道ミサイル防衛を基本的任務とする新型の「イージスシステム搭載艦」2隻を新しく建造する方針を明らかにした。 同防衛白書によると、新型護衛艦は北朝鮮や中国からの潜在的なミサイル攻撃を防止するための機能である。
日本が実効支配する尖閣諸島の領有権を主張する中国政府の船舶が、日本周辺水域、特に同諸島周辺を航行・侵入する回数が増加している。同防衛白書には、新型護衛艦といずも型護衛艦により、「我が国周辺において広域にわたり常時継続的な情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動(中略)を行う」ことが可能となると記されている。
ランド研究所の防衛アナリスト、ジェフェリー・ホーナング(Jeffrey Hornung)博士はFORUMに対して、「日本は量では中国に敵わないことを理解している」「そのため、より優れた艦船、より多用途の船舶を保有することで、質という要素で勝負しようとしている」と述べている。 ホーナング博士の説明によると、このアプローチの中核となるのが新型護衛艦である。これにより人員削減を図ることができるため、採用難が続いている自衛隊の人材調整の面でも有用となる。
汎用型フリゲートである新型護衛艦により、日本は高度な技術を導入しながら、老朽化した掃海艇や護衛艦を廃止することができる。(写真:三井E&S造船・玉野艦船工場で進水された海上自衛隊の新鋭護衛艦「くまの」)
同博士は、いずも型護衛艦を改修することで、那覇や九州などに所在する航空自衛隊の基地が万が一破壊された場合も、自衛隊は自国領空を守る能力が得られると述べた。「航空機を空母に搭載して移動できることで、こうした資産を保護できる」と説明している。
同博士の説明によると、日本は環境上・安全上の懸念からイージス弾道ミサイル防衛システム「イージス・アショア」計画を断念したことから、この2隻の新型護衛艦が必要になったという経緯がある。つまり、棚上げとなっていたイージスアショア配備計画の代替案として、新型イージス艦にロッキード・マーティン製の新型レーダー「SPY-7」を搭載することになったわけである。同博士は、「日本は強力な弾道ミサイル防衛システムを維持する必要がある」と述べている。
フォーブス誌が伝えたところでは、新型護衛艦は日本艦隊の中でも最大規模の艦船になると考えられている。レーダーの他、各艦船は艦船発射型弾道弾迎撃ミサイル「SM-3」を搭載可能で、乗員は250人が見込まれている。時事通信が報じたところでは、乗組員を確保するために自衛官の定年を延長する方針を示した防衛省は、53~56歳であった1佐以下の定年引き上げに着手し、2028年度までに55~58歳とする予定である。
ホーナング博士は、「日本がイージス艦により弾道ミサイル防衛システムを強化すれば、米国はこれまでのように周辺海域に頻繁に米国艦船を展開する必要がなくなる。そうすれば、米国艦船を別の海域に派遣できるようになる」と説明している。
(Indo-Pacific Defense Forum)