米国務省報道官「北京五輪に共同アプローチ」発言、波紋呼ぶ ホワイトハウスは沈静化図る
米国務省プライス報道官の2022年北京冬季五輪をめぐる発言が波紋を呼んでいる。6日、中国の人権問題を受けて米国は同盟国と共同ボイコットを検討するかとの記者質問に対し、プライス氏はその可能性を排除しなかったためだ。翌7日、ホワイトハウスのサキ報道官は「五輪の共同ボイコットを同盟国と協議したことはない」と述べ、事態の沈静化を図った。
プライス報道官は記者会見のなかで、共同ボイコットに関する質問を受けて「まさに我々が議論しようとしていることだ」「協調の取れたアプローチは我々の利益だけではなく、同盟国やパートナーの利益にもなる」と答えた。また、この問題については同盟国と「話し合いが進行中である」と付け加えたが、判断する時期については明言を避けた。
ブルームバーグ7日付によれば、この1カ月、北京駐在の外交官たちは2022年北京冬季五輪ボイコットの賛否に関して話し合うことが多くなっているという。今回のプライス氏の発言は「外交官の間で交わされている議論が今週、世界の舞台で一気に表面化した」と伝えた。
多くのメディアは「米国が共同ボイコットを計画」と報じたが、その後、プライス氏本人はその報道内容を否定した。ロイター通信によると、プライス氏は会見後の電子メールで「記者会見で言及したのは協調的なアプローチについてであり、米政府は協調的なボイコットについて協議しているわけではない」と釈明した。
プライス氏は自身のツイッターでも、北京五輪に関する新たな発表はないことを強調した。「2022年まで時間はあるが、我々は引き続き同盟国やパートナーと緊密に協議することで共通の懸念をはっきりさせ、中国に対する共通のアプローチを確立する」とツイートした。
中国は「共同ボイコット」に関する報道に即反応した。趙立堅報道官は7日の記者会見で、「スポーツを政治化することは五輪憲章に反するものであり、各国選手の利益を損なう」と猛反発した。
事態の沈静化を図るためか、ホワイトハウスのサキ報道官は7日の記者会見で「2022年五輪に関する米政府の立場に変更はない。同盟国と共同ボイコットを巡る協議は行っていない」と述べた。
そのうえで、サキ氏は中国人権問題に取り組んでいくことを強調した。「私たちはパートナーや同盟国と協力し、ウイグル人イスラム教徒のジェノサイドを含む、中国の経済的行動および安全保障上の行動に関するさまざまな懸念に引き続き対処する」
トランプ政権は、新疆ウイグル自治区での中国共産党の行為を大量虐殺と認定した。カナダや英国、ヨーロッパ連合諸国と連携してジェノサイドに加担した中国共産党官僚に制裁を加えた。
2022年2月開催予定の北京冬季オリンピックをめぐっては、中国共産党政権による新疆ウイグル自治区での弾圧政策に抗議するため、人権団体がボイコットするよう呼びかけている。
いっぽう、国際オリンピック委員会(IOC)は、北京での開催を擁護する姿勢を見せている。
IOCのスポークスパーソンは最近の大紀元の取材に対し、IOCとオリンピック大会は世界政治の問題に関して中立を維持しなければならないと述べた。
(王文亮)