中国、杭州市トップ失脚 当局のアリババ集団締め付けに関連か
中国ではこのほど、浙江省杭州市トップ、周江勇・党委員会書記を含む複数の幹部が失脚したことが分かった。杭州市政府は現在、幹部に対して「利益相反の解消」を求めている。専門家は同市に本社を構えるIT大手アリババ集団に対する習近平当局の締め付けが関係していると指摘した。
中国共産党中央規律検査委員会は21日にウェブサイトで、周江勇氏を「重大な規律違反・違法行為」で取り調べていると突然発表した。20日、杭州市トップとして、市の二酸化炭素排出削減政策会議を主宰したばかりだった。
6月以降、中国共産党は浙江省の複数の高官や元幹部を調査してきた。6月1日、同省寧波市海曙区の前党委員会書記、褚孟形氏が取り調べを受けた。7月22日、省政府元副秘書長の張水堂氏も調査を受けた。今月19日、省人民代表会議常務委員会の馬暁暉氏が失脚した。
中国では、周江勇氏の失脚は、当局から取り締りを受けているアリババ集団創業者の馬雲氏に関連しているとの見方が広がっている。さらに、周江勇氏はアリババ集団の金融会社、アント・グループに出資したとの噂がある。
中国メディアの過去の報道を見ると、周氏は、杭州市に本拠地を置くアリババ集団と友好関係にある。2019年、周江勇氏はある式典で、馬雲氏に「功勛杭州人(功績のある杭州市民)」との賞を授与し、馬氏を「デジタル経済の革新者で起業者のモデル」と称賛した上、市政府はアリババ集団をサポートしていくと表明した。
アリババ集団などの電子商取引企業は毎年、11月11日に大規模なセールイベントを開催する。19年の11月11日、周氏はアリババ集団の本社を訪れ、複数の部門を視察し、セールイベントで輝かしい販売業績を収めるよう励ましたという。
いっぽう、アントグループは22日、ネット上の噂に対して声明を発表した。声明は、同社が新規株式公開(IPO)の過程において、噂となった者が株式を取得したという事実はないと示した。
在米中国人学者の李恒青氏は、周江勇氏はアリババ集団への締め付けをめぐって、習当局に同調しなかった可能性があると大紀元に語った。
「地方政府が、経済活性化のために地元企業を支援するのは当たり前の事だ。アリババ集団に関して、周江勇氏は中央政府と違う見解を持っているかもしれない」
また、周江勇氏の失脚は「他の地方高官への見せしめであろう」と李氏は指摘した。
中国当局は、周江勇氏らはアリババ集団やアントグループとの間に不正行為があるかを明らかにしていない。
共産党中央規律検査委員会は23日、「杭州市は利益相反問題に対応し始めた」との記事を掲載し、杭州市政府にメスを入れることを示唆した。対象者は在職の市政府幹部と、過去3年間に退職、離職をした元幹部だという。
当局は市の幹部らに、利益相反という状況があるかを自己検査し、上司にリポートを提出するよう要求した。また、幹部らの中に不正な金銭の貸し借りがある者に対して説明責任を果たし、規律や法に違反した者に対しては調査を行い、厳しく処分するという。さらに、幹部らの配偶者や子供らがビジネスを展開し、企業を経営することを規制する方針を出した。
(翻訳編集・張哲)