中国、子どものオンラインゲーム利用を週3時間に制限 人手不足解決策との見方も
中国当局が学習塾業界に対して締めつけを強化した後、8月末に未成年者のオンラインゲームに制限を設けると決定した。当局がこれらの措置を通じて、国内の労働力不足問題を解決しようとしているという見方がある。
中国国家新聞出版広電総局は8月30日、『未成年者のオンラインゲーム依存を徹底的に防止し、一段と厳しく管理することに関する通知』を出した。通知はすべてのオンラインゲーム企業に対して、未成年者を対象に金曜日、土曜日、日曜日、法定休日の午後8~9時までの1時間のサービスを提供するよう要求した。
通知は、各会社に対して、ユーザーアカウントの実名登録を徹底的に行うよう求めた。実名登録をしていないユーザーへのサービス提供を禁じるとした。当局は、子どもたちのオンラインゲーム中毒防止のためだとしている。
中国メディアによると、当局の通知を受けて、テンセント(騰訊控股)、網易、中手游など、オンラインゲーム企業は当局の新規定に従うと公表した。しかし、この影響で8月31日の各株式市場では、取引開始後、テンセントなどの株価が急落した。香港株式市場では、網易の株価は一時4%、テンセントは3%、中手游は8%とそれぞれ下落した。また同日の米国株式市場でも、網易の株価は6%急落した。ビリビリ(Bilibili)は2%下落した。
四川省重慶市の学習熟業界関係者、孟醒氏は30日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、当局の学習塾業界とオンラインゲーム業界への規制強化は「ワンセットで行っている」と示した。
「子どもが個人別指導塾に行けないから、家でゲームをするしかないのだ。ただ、この規制で効果が得られるかはわからない。実際に、多くの子どもは親の名前や身分証明書で登録して、オンラインゲームをしている。あまり人気のないオンラインゲームなら、ユーザーに実名登録などを厳しく確認しない」と孟氏は述べた。
いっぽう、国家新聞出版広電総局は今後、国内各地のオンラインゲーム会社を順次に視察し、監督管理を強化していくと示した。当局の規定に付き従わない企業に厳格な処分を行うという。
中国当局は2年前からオンラインゲーム業界への規制強化を図り始めた。2019年の通知は各企業に対して、未成年者に提供するゲーム時間について、法定休日は1日3時間、それ以外は1日1.5時間を超えてはならないと規定した。また、今年6月に施行された「未成年者保護法」は、「オンラインゲームサービス提供者は毎日午後10時から翌日午前8時まで、未成年者にサービスを提供してはならない」と定めた。
官製メディアは8月初め、テンセントが提供するゲーム「王者栄耀」を名指して、オンラインゲームを「精神的なアヘンだ」と猛烈に批判した。このため、株式市場で関連銘柄が急落し、投資家の不安は広がった。
貴州省の小学校で教諭を務める袁昌権氏は、「中国当局のやり方は本当に乱暴だ。子どもには自分で選択する権利すらない。ゲーム会社にも多くの従業員がいるのに、彼らが失業者になるのは目に見えている。中国経済は一段と悪化するだろう」とRFAに語った。
中国では今年、約900万人以上の大学生が卒業する予定だ。その一方で、中国の製造業は深刻な人手不足に直面している。
中国教育部(省)が8月24日に発表した『小中高校・大学における労働教育指導綱要(試行版)』は、「教育が行われているのに、労働力はない」という現状を解決しなければならないとの見方を示した。綱要は労働が「知育」に取って代わられることを防がなければならないと強調した。
孟醒氏によると、中国当局は現在、職業教育を強化している。「中学生が高校に進学する際、約40%の生徒は強制的に職業高校に入れられる。多くの保護者は、子どもが将来、肉体労働者になるのを恐れて、小学生や中学生の子どもを校外学習に通わせて対策を強めてきた。最大の問題は、中国の職業教育の質とブルーカラー労働者への待遇だ。先進国を見ればわかる。これらの問題を解決しなければ、労働力不足は解消できない」
RFAによれば、中国教育部教材局の担当者、申継亮氏は記者会見で、同指導綱要をめぐって、「労働教育は主に、日常生活労働、生産労働、サービス的仕事の知識、技能、価値観に基づいて展開する」「労働に関するカリキュラムを導入する」などと言及した。
(翻訳編集・張哲)