留守宅に忍び込んで金品を盗む窃盗犯を「空き巣狙い」と言います。
江戸落語の演目「締め込み」では、ある長屋に入った空き巣狙いが、長火鉢の炭火にヤカンがかけたままになっていたので、「こりゃあ、家人は早く戻ってくるな」と見て、盗むものを手早くまとめ、風呂敷に包んで逃げようとします。
そこへ、家の主人が戻ってきます。泥棒は、あわてて板敷きの下へ隠れたのですが、その上で夫婦喧嘩が始まったので、ついに泥棒が出てきて「まあまあ」と夫婦の仲裁に入る、という滑稽噺です。
たとえ短時間でも、ヤカンを火にかけたまま留守にしては、いけません。
身の毛もよだつ殺人事件を語る講談とは違って、落語に出てくる庶民は、たとえ泥棒であっても愛嬌があり、本当の凶悪犯はいないというのが前提です。ただ、やはり泥棒に入られては困りますので、「入らせない工夫」はしておきましょう。
英紙『デイリー・テレグラフ』では、元窃盗犯(つまり昔の泥棒)の経験に基づいて、住宅の盗難を防ぐ方法を伝えています。
もう時効なのかは定かではありませんが、昔の「稼業」で大もうけした元泥棒が「こうしておけば、その家に泥棒は入りにくいですよ」という秘訣を伝授してくれるというのです。
1、屋外照明を設置する
屋外にアクション・センサー・ライトを設置することは、盗難を抑制する最も簡単な方法の一つです。まさに、ミスター元泥棒もこう言います。「私はいつも、屋外防犯灯のある家は避けていました」。
2、犬を飼う
犬を飼うことも窃盗の抑制に役立ちます。それが大型犬であれば、泥棒に立ち向かいますので、泥棒にとって捕まるリスクが高まることになります。
小型犬は、泥棒に立ち向かうことはできなくても、人間より早く侵入者を察知し、普段と違う吠え方で家人に異常を知らせることができます。
3、長期休暇に出るときは要注意!
空き巣被害に遭った人によると、バカンスで長期に家を空けるため、車に多くの荷物を乗せるところを物陰から泥棒に見られていた、といいます。「この家は、長く留守になるな」と見られて、窃盗の標的になったというのです。
自分の車やタクシーに荷物を乗せる場合は、長期不在になることが察せられないよう、手早くすませたほうがいいでしょう。
4、近所の人や友人に声をかけて
長く遠出をするときは、近所の人や友人に頼んで、数日おきに見に来てもらうことで、家に誰も住んでいないというサインが出ないようにできます。
そのほか、「メールボックスに郵便がたまっていると、家人の不在が確認できます」と、ミスター元泥棒も言っています。
人情のわかる泥棒は、落語の世界だけのこと。日本でも、気をつけましょう。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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