夜、寝付けない時、靴下を履いて寝るとぐっすり安眠できる

人は毎日7時間の睡眠が必要です。 疲れた一日の終わりに満足のいく休息を与えてくれるだけでなく、米国国立衛生研究所によると、体の組織や脳を正常に機能させるために必要不可欠な栄養素だそうです。 

寝つきが悪い人は多く、靴下を履いて寝ることで、少しでも早く眠りにつくことができるなどの効果が期待できます。

靴下を履いて寝ると、体温調節がしやすくなる

なぜ靴下は眠りを誘うのか? まず、体温のしくみから見てみましょう。

体の中心温度は、体内時計と密接な関係があります。 平熱は37度前後ですが、1日のうちでわずかに上下します。 日中、体温は徐々に上昇し、一番元気な午後にピークを迎え、夕方になると徐々に下がり、眠くなります。

寝ている間に靴下を履くと足が温まり、足の血流が良くなって血管が拡張されます。 このとき、身体は皮膚から熱を放出し、中心体温を下げ、脳に「眠る時間だ」と伝えるのです。 「Physiology & Behavior」誌に掲載された研究によると、普通の靴下と加熱式靴下のどちらかを履いて寝た成人の方が、より早く眠りにつくことができたということです。

クリーブランド・メディカル・センターによると、睡眠に最適な寝室の温度は16~20度前後で、この温度は体温を自然に下げ、睡眠を促進する温度だとしています。

靴下で寝ることで得られる4つの効果
 

靴下を履いて寝ることは、睡眠を助ける以外にも、次のような効果が期待できます。

1.ホットフラッシュを予防する
更年期になると多くの女性が経験するホットフラッシュは、体温が急激に上昇する感覚、全身に広がる熱感、寝汗や動悸、顔の紅潮などを伴います。 ホットフラッシュは、ホルモンバランスの乱れが体温調節機能に影響を与えることで起こります。 靴下を履くことで、夜間の体温を下げ、ホットフラッシュを予防することができます。

2.レイノー症候群のリスク低減
レイノー症候群は、皮膚の血管が侵される病気です。
レイノー症候群の人は、寒さを感じると発作を起こすことがあります。 発作時には、手足の末端の血管が過度に収縮して四肢の血流が悪くなり、手足の指先が冷たくなったり、青白くなったり、意識がなくなったりすることもあります。 靴下を履いて寝ると、足の血行が良くなり、一日中暖かく過ごせるので、症状の改善に役立ちます。

3.かかとの乾燥やひび割れを改善する
乾燥して寒い冬には、足を保湿した後に靴下を履くことで、水分の損失を防ぎ、乾燥してひび割れたかかとの外観を改善することができます。

4.血行促進
漢方では、足の冷えは体の気を奪うとされており、靴下を履くことで足を温め、気の巡りを促進させることができます。

寝るときに靴下を履くときの3つの注意点
 

靴下は、肌触りがよく、薄手で寝心地のよいものを選ぶとよいでしょう。 (Shutterstock)

1.正しい靴下を選ぶ
睡眠時に履く靴下は、より通気性が良く快適な、できれば天然繊維でできたものを選びましょう。 厚すぎたり、きつすぎたりする靴下は、血液の循環を妨げることがあります。

医師の指示がない限り、着圧ソックス(弾性靴下)の着用は避け、加熱ソックスを使用する場合は、加熱しすぎると火傷したり、火災の原因になることがありますので、避けてください。

2.靴下を定期的に交換する
毎晩寝る前に靴下を履き替えましょう。 履き古した靴下は汗をかきやすく、細菌や汚れの原因となり、健康に害を及ぼす可能性があります。

3.足を濡らさない
寝る前にお風呂に入ったり、足を浸けたりするのも効果的ですが、その後に足を乾かしてから靴下を履くようにすると、湿気がこもって雑菌が繁殖するのを防げます。

靴下を履くのが苦手な方は、カシミヤやウールの靴下など、質の良い靴下をもう一度試してみてください。どうしても無理という方は以下のような方法を試してみてください。

・就寝前に足湯をする

・夜、暖かいスリッパを履く

・足元に湯たんぽや保温パックを置く(温めすぎに注意)

・毛布や電気毛布で足を覆う(ただし、寝るときは電源を切るのを忘れずに)

・寝る前に20分~1時間程度、熱いお風呂につかる
 

子供や赤ちゃんは靴下を履いて寝てもいいのですか?

子供や赤ちゃんには、電気毛布の使用や温熱靴下の着用は避けた方がよいでしょう。 一番安全な方法は、就寝前に温かいお風呂に入り、あらかじめ温めておいた靴下を履くことです。

湯たんぽを使う場合は、熱すぎないように注意し、綿毛布を巻いて肌に直接触れないようにしましょう。

お子様が熱を持ったり、汗をかいたり、頬が赤くなったり、泣き続けたり、落ち着きがなくなったりしたら、すぐに追加の衣服や毛布を脱がせてください。

(翻訳:里見雨禾)