最もつらい痛みや違和感は、なぜか眠っているときに限って現れます。動かずに痛みから逃れようと寝返りを打ったり身をよじったりしても、痛みはなかなか消えません。逆に起き上がって体を動かすと、完全に目が覚めてしまい、その夜の眠りを失ってしまうこともあります。
痛みがあると良い眠りは得られませんが、そんな痛みを防ぐためにできることがあります。
夜の痛みを防ぐ6つのエクササイズ
次に紹介するエクササイズは、夜中の痛みを感じにくくするのに役立ちます。寝る前の夜の時間帯に行ってもよいですし、日中の好きなときに行っても、体にたまったこわばりや緊張を和らげ、後々の睡眠の妨げを防ぐ効果があります。
多くの患者さんがこれらのストレッチを無理なく続けられていますが、行う前に自分に合っているかどうかを医療従事者に確認することをおすすめします。
1. キャット/カウ(Cat/Cow)
キャット/カウは、背中をしっかり動かすヨガの代表的なポーズです。背骨の屈曲(まげる動き)と伸展(のばす動き)を行い、寝る前に背中を伸ばすことで、より良い睡眠の準備ができます。夜にネコやウシの夢を見るかもしれませんね。
練習のコツ:呼吸を合わせるとより効果的です。一般的には、「息を吸いながらカウ(背中を反らせる)」「息を吐きながらキャット(背中を丸める)」を行います。逆にしても構いません。
手順:
- 手と膝をついて四つん這いになります。肩の下に手、腰の下に膝を置きます。硬い床がつらい場合は、カーペットの上や膝の下にクッションを敷いても構いません。
- しっぽ(尾てい骨)を内側に丸めるようにして、背骨を1本ずつ丸めていきます。あごを胸に深く引き寄せ、背中を猫のように丸めましょう。この姿勢に1~2秒かけて入り、5秒ほどキープします。
- そこから再び尾てい骨から動かし、背骨を1本ずつ伸ばしていきます。頭のてっぺんを引き上げるようにして背中を反らせ、鼻は上ではなく前に向けましょう。肩と腰の間が少し下にカーブする形になります(キャットの反対の姿勢)。1~2秒かけて動き、5秒キープします。
- キャットとカウを1回ずつ行って1回とし、3セット×12回を目安に行います。
できない場合:無理に深く曲げ伸ばししなくても大丈夫です。動ける範囲で行うだけでも、背骨がほぐれて腰のリラックスにつながります。
おすすめの理由:ヨガの定番であり、背骨全体の柔軟性を高める非常に効果的な動きだからです。
2. シックスポイント・ネックストレッチ(Six-Point Neck Stretch)
首の痛みでうなずきたくてもできないことがあります。首の痛みは眠りを妨げ、朝に疲労感を残すこともあります。
首の前後のストレッチ(屈曲・伸展)
下を向く動きで首の後ろ側の短くなった筋肉を伸ばし、上を向く動きで前側の筋肉(胸鎖乳突筋と斜角筋)をほぐします。
- 立つか座った状態で、あごを胸の方向へゆっくり引き寄せます。
- 次に、頭をゆっくり上に向けます。うなずくような動きを1分間×3セット行います。
首の回旋
首全体の筋肉を動かし、同時に頸椎の動きを良くしてくれます。
- 座るか立った姿勢で、頭を左にゆっくり回します。
- 次に右に回します。これを1分間×3セット行います。
首の横へのストレッチ
側屈運動では、胸鎖乳突筋・斜角筋・僧帽筋などを伸ばします。
- 背筋を伸ばし、まっすぐ前を向いた状態から、左の耳を左肩に近づけるように首を傾けます。
- 頭を戻して、右側も同様に行います。
強化バリエーション:
頭を倒す方向と反対の手のこぶしを背中の腰のあたりに当てると、ストレッチが深まります(例:右側に首を倒すときは右手のこぶしを背中に当てて下に押す)。ただし、必須ではないので、無理のない範囲で行ってください。どの方向にも大きく動かせない場合は、痛みが出ない範囲でできるだけ動かすだけでも十分効果があります。
おすすめの理由:この動きで首の全ての筋肉をほぐせるため、深夜に痛みで目が覚めるのを防ぎます。
3. ショルダーシュラッグ(Shoulder Shrugs)
一見単純ですが、肩の上げ下げは僧帽筋や菱形筋をほぐします。特に菱形筋のけいれんはしつこく、夜間の痛みの原因になります。
手順:
- 立つか、座って手を太ももの上に置きます。
- 背筋を伸ばしたまま、肩をゆっくりと耳に近づけるように上げ、1秒キープした後、ゆっくり下ろします。
- 上げ下げで1回とし、3セット×15回を行います。速く動かすのではなく、ゆっくり温めるイメージで。
できない場合:肩を高く上げられないときは、できる範囲で構いません。鏡を見ながら正しくできているか確認すると良いです。
おすすめの理由:見た目よりも効果があり、筋肉を温めながら緊張を解くので、夜の痛みを和らげるのに最適です。このシンプルなエクササイズは、見た目以上にきつく、そして効果的です。筋肉を疲労させながら可動域いっぱいに動かすことで、夜には痛みなく安らかに過ごせることが期待できます。
4. 「脇のにおいをかぐ」ストレッチ(Smell-Your-Armpit Stretch)
名前はユーモラスですが、首の後ろをしっかり伸ばす深いストレッチです。
手順:
- 座るか立った状態で、右手を頭の後ろに置き、頭を右に回して右の脇の下をかぐように顔を近づけます。肩を上げ、背筋をまっすぐに保つようにしてください。
- 右手で軽く頭を押し、ストレッチを深めます。10秒間キープした後、開始位置に戻り、反対側も同様に行います。
- 左右1回ずつで1回とし、3セット×10回を目安に行います。
できない場合:無理せず、届く範囲で構いません。回数を重ねるうちに可動域が広がっていきます。
おすすめの理由:これらの動きは首の筋肉全体に働きかけます。特に早朝など、首の痛みで目が覚めてしまうようなときでも、心地よい睡眠に必要なリラックス効果を得ることができます。
5. 仰向けワイパー(Supine Windshield Wipers)
腰や股関節の痛みは眠りの妨げになります。仰向けワイパーは、股関節を緩めてリラックスさせます。
手順:
- 仰向けになり、膝を立てて足を床につけます。足はおよそ30cmほど開きます。
- 右膝を左方向(ヨガマットの左下の角を目指すように)に倒します。
- 元の位置に戻し、今度は左膝を右に倒します。左右1回ずつで1回とし、各15回を目安に行います。
できない場合:最初は可動範囲が狭くても問題ありません。徐々にほぐれていきます。足と反対方向に頭を回すと、首も一緒にほぐれます。
おすすめの理由:股関節を柔軟にし、夜中に股関節の痛みや違和感で眠りが妨げられるのを防ぐ助けになります。
6. オープンブック(Open Book)
ベッドの上でできる、胸の前側(大胸筋)を伸ばすエクササイズです。
手順:
- 左側を下にして横になります。右膝を曲げて体の前に置き、両腕を前に伸ばして手のひらを合わせます。頭や膝の下にクッションを置いてもOKです。
- 右腕を大きく後ろに回しながら、手の動きを目で追います。
- 最大限に開いたところで5秒キープし、元に戻します。
- 開いて戻してを1回とし、左右それぞれ3セット×15回を目安に行います。
できない場合:最初は少ししか開けなくても大丈夫です。キープしているうちに少しずつ可動域が広がります。
おすすめの理由:大きな動きが深いリラックスをもたらし、胸を開くことで呼吸が楽になります。ベッドの上でできる理想的な就寝前ストレッチです。
これら6つのエクササイズを組み合わせることで、筋肉や関節をほぐし、夜間の睡眠の質を高め、朝の痛みを減らすことができます。寝る直前に行うとより効果的です。ぜひ試してみてください。
フィットネスモデルについて:エロウェン・ハンター(Aerowenn Hunter)は「The Epoch Times」の健康編集者でありフィットネスモデルです。60代の今もエネルギッシュに活動しており、30年以上にわたりヨガを指導してきた認定ヨガセラピストです。
この記事で表明された見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
(翻訳編集 井田千景)
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