神経科医がすすめる、科学的に裏付けられた「効果のある」睡眠習慣5つ

毎月7万4,000人以上が、すぐに眠りにつくための秘訣を求めて、Googleで「how to fall asleep fast(早く眠る方法)」と検索しています。

しかし、ここに意外な事実があります。本当に効果が期待できる睡眠習慣は、ベッドの中で何をするかとはほとんど関係がなく、目覚めた瞬間から一日をどう過ごすかに大きく関係しているのです。
 

1.睡眠時間の長さよりも規則性を優先する

睡眠を改善しようとすると、多くの人は一晩に推奨される7〜9時間の睡眠時間を確保することに意識を向けがちです。しかし、就寝時刻と起床時刻を毎日一定に保つ「睡眠の規則性」のほうが、単に睡眠時間を確保することよりも重要である可能性があります。

「毎日同じ時間に起きることが大切です」と、アトリウム・ヘルス睡眠医学の医療ディレクターで神経内科医のダグラス・カーシュ医師は、エポック・タイムズに語っています。

2018年に『ヨーロッパ心理学学生誌』に掲載されたノルウェーの大学生を対象とした研究では、総睡眠時間が同じでも、睡眠が不規則な学生は生活満足度が低く、日中の疲労感が強いことが報告されました。

同様の傾向は、2025年に『睡眠研究誌』に掲載された700人以上の中高年を対象とした研究でも確認されています。この研究では、睡眠時間が同じであっても、睡眠スケジュールが不規則な人は生活の質が低く、精神的・身体的健康スコアも悪いと報告されました。

さらに、30万人以上の成人データを分析した大規模研究では、規則正しい睡眠習慣を持つ人のほうが、全体的により回復的な睡眠を得ていることが分かりました。朝型か夜型かというクロノタイプ(生体的に朝型・夜型のどちらを好むかという傾向)でさえ、この影響を上回ることはありませんでした。規則正しい生活を送る夜型の人のほうが、不規則な生活を送る朝型の人よりも、よく眠れていたのです。

体の回復プロセスは、睡眠時間の長さだけでなく、タイミングに依存する体内時計によって動いています。そのため、睡眠スケジュールが不規則だと、同じ時間ベッドにいても、時差ぼけのように朝起きたときにぼんやりしたり、だるさを感じたりすることがあります。

カーシュ医師は、この規則性は週末にも当てはめるべきだと述べています。平日の睡眠不足を補おうと週末に寝だめをしても、代謝への悪影響は解消されず、かえって体内時計をさらに乱すだけだというのです。
 

2.目覚まし時計を使わず、スヌーズをやめる

多くの人が目覚まし時計に頼っていますが、この突然の目覚めは体にとって望ましいとは言えません。

「目覚まし時計で起こされると、体と脳がショックを受けて覚醒し、ストレスホルモンであるコルチゾールが一気に分泌されます」と、臨床心理学・学校心理学の博士号を持つ睡眠専門家であり、著者、そしてSolve Our Sleepの創設者でもあるホイットニー・ローバン氏は、エポック・タイムズに語っています。

本来、アラームなしで自然に目覚める場合、睡眠サイクルは浅い睡眠段階で終わるため、覚醒への移行がスムーズで、すっきりと目覚めやすくなります。

一方、目覚まし時計で起きると自然な覚醒プロセスが妨げられ、疲れた感覚が残りやすくなります。スヌーズ機能を使っても、この乱れは修復されず、浅く不安定な睡眠に戻るだけです。脳が次の中断を予期しているため、スヌーズによる睡眠は回復的なものになりにくいとされています。

「その結果、深い睡眠の恩恵を受けにくくなり、スリープ・イナーシャ(完全に覚醒する前に起こされることで生じる、頭が重くぼんやりした状態)によって、かえって強い眠気を感じて目覚めることが多くなります」と彼女は述べています。

このような不完全な睡眠サイクルによる眠気は、日中の強い眠気につながり、過度なスヌーズや遅い時間の昼寝を引き起こします。それらは夜の眠気の圧力を弱め、結果的に寝つきを悪くします。

コンコルディア大学の睡眠・認知・神経画像研究所所長で神経内科医のティエン・タイン・ダン=ヴー医師は、昼寝は30分以内、できれば早い午後に限定するよう勧めています。

起きている時間をしっかり確保し、知的に刺激のある活動や身体を使う活動を行うことで、自然な眠気を高めることができます。
 

3.朝の強い光を浴びる

睡眠の規則性を高める鍵の一つが、自然光を浴びることです。「朝の強い光は、次の夜に向けて睡眠の時計をスタートさせるために不可欠です」とカーシュ医師は述べ、可能であれば起床後すぐに屋外を散歩することを勧めています。晴れた日であれば5〜10分、曇りの日は10〜15分程度が目安です。

睡眠と覚醒のリズムを調整するホルモンであるメラトニンは、光の影響を強く受けます。そのため、朝に自然光を浴び、夜に光を減らすことで、体に「起きる時間」と「眠る時間」を正しく伝えることができます。

研究では、起床後数時間以内に強い人工光を浴びることで、朝の覚醒度が高まり、夜の睡眠に備えやすくなることが示されています。この早い時間帯の光刺激は、昼夜の自然なリズムを強化し、安定した睡眠スケジュールを保ちやすくします。

正午ごろに強い光(太陽光など)を浴びることも、概日リズム(体内の約24時間周期の生体リズム)を安定させ、午後の覚醒を保ち、夜の入眠を助けます。

一方、夜の光は逆効果です。夜に光を浴びると、自然光と同じような作用でメラトニンの分泌が抑えられ、睡眠を妨げる可能性があります。これは室内照明だけでなく、電子機器の光も含まれます。
 

4.寝る前に書き出す

起きている時間、特に忙しい日中は、ネガティブな思考や不安を振り返ったり整理したりする時間がほとんどありません。しかし、処理されないままの心配事は夜になって表面化し、寝つこうとしたときや夜中に目が覚めたときに現れがちです。

「夜に心配したり考え込んだりすると、脳は交感神経系を活性化させます」とローバン氏は述べています。その結果、心拍数や血圧が上昇し、さらに眠りにくくなります。

脳を落ち着かせるために、ローバン氏は就寝の約1時間前に頭の中の考えや感情を書き出し(ジャーナリング)、浮かんでくる思考を外に出し、翌日のやることリストを書き留めることを勧めています。

書き出すことで、「これらの心配事は記録されたので、覚えておく必要はない」と脳に伝えることができます。
 

5.時間を確認するのをやめる

残りの睡眠時間を知ろうと、夜中に時計を見る人は多いですが、リアルタイムで睡眠を把握しようとすることは、かえって逆効果になることがあります。

「夜中に時計を見るのはやめてください」とカーシュ医師は言います。「役に立たないどころか、睡眠を悪化させることが多いのです」時計を気にする行為は不安をあおり、コルチゾール値を上げ、さらに寝つきを悪くします。

時間を確認することが習慣になると、その行為自体が夜中に目覚める原因になることがあります。代わりに、寝室を暗くし、刺激や気が散るものを排除することで、再び眠りにつきやすくなります。

睡眠の改善は、最初は実感できないかもしれません。しかし、継続と信頼こそが、睡眠を本来の状態に戻す鍵です。研究によると、体内時計は通常、1日に約1時間ずつ調整することが可能だとされています。

(翻訳編集 井田千景)

執筆活動を始める前、レイチェルは神経疾患を専門とする作業療法士として働いていた。また、大学で基礎科学と専門作業療法のコースを教えていた。2019 年に幼児発達教育の修士号を取得した。2020 年以降、さまざまな出版物やブランドで健康に関するトピックについて幅広く執筆している。