午後3時のドルは115円後半、値幅わずか15銭 一段高には材料不足
[東京 16日 ロイター] – 午後3時のドル/円は、前日のニューヨーク市場終盤(115.62/65円)から小幅高の115.68/70円で推移している。朝方に115.74まで上昇したが、その後は方向感のない値動きが続き、日中の値幅は15銭にとどまった。ウクライナ情勢の緊迫度が弱まり株式市場などはリスク選好となったものの、外為市場では一段とドルを買い進むには米国の利上げに関して新たな手掛かりが必要とみられている。
ウクライナとの国境付近での軍事演習を終えたロシア軍の一部部隊が基地に帰還したことなどから、地政学的緊張が和らいだとの見方が広がり株式市場などでは強気ムードが広がった。しかし、外為市場ではリスクオンの円売りは進まず、ドルは115円後半で足踏みを続けている。
ドルの上値の重さの理由として、米国の金融政策に関する手掛かりが乏しいと指摘する声も多い。
米連邦準備理事会(FRB)が3月の50ベーシスポイント(bp)の利上げを行うとの見通しはすでにあらかた織り込まれており、米10年債利回りは2%を超えている。しかし、楽天証券のFXディーリング部・荒地潤氏は「FRBのタカ派度合いがこれ以上進むのは難しいとの思惑から、ドルの頭打ち感も意識されている」と指摘する。
ドルは売られる地合いではないものの「ドル以外の通貨の方がポテンシャルが高い(取引妙味がある)とみられ、ユーロや英ポンドを買う動きが広がっているようだ」(荒地氏)という。
ドルの現在の水準では「売るフローも買うフローも入りづらく、商いは閑散としている」(国内銀行)との声も聞かれた。実需筋の動きとしても、直近のドル/円のレンジを踏まえ輸出企業は116円台で、輸入企業は114円台でそれぞれ売買を行う姿勢で、ドルは115円台で一層動きづらくなっている。
ユーロは対ドル、対円ともしっかり。ウクライナ情勢の緊迫化で昨日まで軟調に推移していたが、過度な懸念が後退し買い戻しが活発になった。
目先のユーロについては「今後、地政学リスクが落ち着けば、再び欧州中央銀行(ECB)の金融引き締めが意識されるのではないか。目先1カ月程度で1.15ドル付近まで上昇する可能性もある」(国内証券)との見方が出ていた。
ドル/円 ユーロ/ドル ユーロ/円
午後3時現在 115.68/70 1.1352/56 131.34/38
午前9時現在 115.63/65 1.1353/57 131.29/33
NY午後5時 115.62/65 1.1356/60 131.28/32