28年にわたる研究で、オリーブオイルを毎日摂取している人は、ほとんど摂取していない人や全く摂取していない人に比べて、心血管疾患、呼吸器疾患、ガンによる死亡リスクが有意に低く、長生きであることがわかりました。
この研究は、ハーバード大学、陳曾熙公衆衛生学部栄養学科のマルタ・グアッシュ・フェレ上級研究員の主導の下、今年1月にAmerican College of Cardiologyで発表されました。
この研究は、Nurses’ Health Studyのアメリカ人女性6582人とHealth Professionals Follow-up Studyのアメリカ人男性3万1801人を追跡して分析したものです。
この研究は1990年に開始され、参加者全員が心血管疾患や癌に罹患していない状態で参加しました。
その後4年ごとに、参加者の食生活について調査を行いました。その結果、オリーブオイルをより多く摂取している参加者は、運動量が多く、喫煙量が少なく、果物や野菜をよく食べ、南ヨーロッパまたは地中海の家系が多いということがわかりました。この28年間の長期研究期間中には36856人が亡くなっています。
研究の結果、オリーブオイルをほとんど摂取していない参加者と比較して、オリーブオイルを多く摂取している参加者は以下のような事が起こりました。
・心血管系疾患による死亡リスクが19%低下した。
・がんによる死亡リスクが17%減少した。
・神経変性疾患(アルツハイマー病を含む)による死亡リスクが29%低減した。
・呼吸器疾患による死亡リスクが18%低下した。
しかし、少量のオリーブオイルの摂取でも健康効果があるようです。 研究者たちは、1日に小さじ1杯のオリーブオイルを摂取するだけで、あらゆる原因による死亡リスクが12%減少することを発見しました。
また、マーガリン、バター、マヨネーズ、あらゆる種類の乳脂肪を1日大さじ4分の3杯のオリーブオイルに置き換えると、あらゆる原因による死亡リスクが8〜34%減少することも明らかになりました。
しかし、オリーブオイルとコーン油や菜種油などの植物油を比較した場合、差は見られませんでした。スウェーデンのウプサラ大学の疫学者であるスザンナ・ラーション博士は、「このことは、植物油がオリーブオイルと同じ健康効果を持つ可能性を示唆している」と述べています。
この研究の著者であるフェレ氏は、1日に大さじ3〜4杯のオリーブオイルを摂取することで、料理に使うバターやマヨネーズなどの動物性油脂を減らすことができると提案しています。
「家では、ほとんど何にでもオリーブオイルを使っている。例えば、オーブン料理や野菜、サラダ、そして揚げ物にも向いている」と彼女は語りました。
フェレ氏は、病気のリスクを減らすには、果物、野菜、豆類、全粒粉、オリーブオイルやナッツなどの健康的な脂肪、適度なタンパク質(卵、魚、鶏肉など)を摂取する一方で、加工肉やその他の加工食品、甘い飲み物やデザートを控えるなど、全体的に健康な食事を取る必要があると考えています。
(翻訳・香原 咲)
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