「遅い時間に食べると太りますか?」(3)健康に関心をもつ
(前稿より続く)
朝食は「最も重要な食事」ですか?
一般的には「朝食は大切なので、必ずとるように」と言われます。しかし、一部の専門家は、これについて異なる見方をしているようです。
その一例として、「朝食よりも、夕食の方が重要だ」と提唱する専門家もいます。
アラバマ大学バーミンガム校の栄養科学の准教授であるコートニー・ピーターソン氏は、「朝食は最も重要な食事のように言われますが、実は本当に重要なのは夕食かもしれません」と言います。
先述のハル・ロブソン-カヌ氏は、「朝食を食べるかどうかは、個人の習慣による場合もあります。必ずしも朝食をとる習慣がなくても構わないでしょう」と言います。
その上で同氏は、こう言います。
「自身の信念により、短時間の断食(例えば14~16時間の断食)を行っている人もいます。彼らは通常、朝食を摂らないのです。大切なのは、栄養バランスのとれた食事を維持することです。朝食をとらない分、昼食や夕食を多くする必要はありません」
ただし、「朝食が1日の中で最も大切な食事」と呼ばれるのには、それなりの理由があります。
健康的な内容の朝食は、1日の始めに必要なエネルギーと栄養を与えるだけでなく、体重コントロールを助け、脳の注意力や記憶力を高めます。
また、朝食を必ず食べる人は、肥満や2型糖尿病になりにくいので、病気のリスクを低下させていると言っても良いでしょう。
朝食を食べる人は、総じて「栄養や健康に関心が高い」と言うこともできます。そのため、彼らは「喫煙しない」「定期的に運動する」などの健康に有益な行動を選択し、実践できるのです。
「果物の糖分」は問題ありませんか?
一部の専門家は、「果物にも糖分が含まれているため、人が果物を食べることも懸念される」と警告します。
実は、果物に含まれる糖分は微量である上、人工的に精製した砂糖ではなく、また果物には糖分以外の他の有益な成分も含まれていますので、糖分だけを見て果物を制限することは(食事管理が必要な患者は別として)あまり過度に気にしなくても良いでしょう。
これに対し、注意すべき糖として「遊離糖」というものがあります。
遊離糖とは何でしょうか。日本の厚生労働省の「標準的な健診保健指導プログラム平成 30 年度版」によると、「グルコースやフルクトース等の単糖類。スクロースや砂糖等の二糖類等食品や飲料の加工調理で加えられるもの。ならびにハチミツ、シロップ、果汁、濃縮果汁等に自然に存在する糖類」のことです。
世界保健機関(WHO)は、遊離糖から摂取されるカロリーを1日の総カロリーの10% (約50g)以内にするよう推奨しています。これは、通常の清涼飲料2缶に含まれる砂糖に相当します。
遊離糖の摂取量を減らすと、虫歯や肥満のリスクが低下します。
「遊離糖の摂取量を総エネルギー摂取量の10%以下に抑えることで、過体重、肥満、虫歯のリスクを減らすことができる確かな証拠があります」と、WHOの栄養促進・健康開発部長のフランチェスコ・ブランカ博士は言います。
また、WHOは「新鮮な果物、野菜、牛乳の糖分が健康に悪影響を与える証拠はない」と指摘しています。しかし、果汁に糖分が含まれているのは事実です。オレンジ果汁1瓶に含まれる糖分は、オレンジ6個分に相当します。
そのほか果物には各種ビタミン、ミネラル、フィトケミカル、食物繊維などの栄養成分が多く含まれています。新鮮な果物は、毎日とってよい食物と言うべきでしょう。
(翻訳編集・鳥飼聡)