ヘリテージ財団で講演するマルコ・ルビオ上院議員。2022年3月29日撮影(Drew Angerer/Getty Images)

米上院議員、台湾への武器売却を早急に進める法案を提出

米共和党のマルコ・ルビオ上院議員は台湾への武器売却を早め、中国からの攻撃や侵略に防衛できるよう合同軍事訓練を向上させることを目的とした法案を提出した。この法案は、ロシアの戦争により米国から台湾への武器供与が遅延する可能性が報じられるなか、発表された。

「力を通じた台湾の平和法案(Taiwan Peace Through Strength Act)」と呼ばれるこの法案は米国防総省に対して、台湾防衛のために、米国の計画を年次評価させ、米国の防衛関連企業の中国での事業を禁止することを要求している。

同法案は台湾への武器売却を他の国よりも優先させるものとなる。さらに台湾への武器売却を年間20億ドルまで許可している。米台のハイレベルな軍事メカニズムを構築し、包括的な共同訓練プログラムを設定して、両国の軍隊の相互運用性の実現につなげることも含まれる。

ロシアによるウクライナ侵略が続くなか、米バイデン政権は数百億ドルもの武器供与を通じてウクライナの防衛を支援してきた。台湾の主要紙・聯合報2日付けによれば、米国の軍事生産能力への影響により台湾への供与が遅延している。

同紙によれば、米国が2023~25年に予定していた台湾への自走砲の供与が、早くとも26年以降に延期されたと報じた。米側から台湾政府に通知があったという。自走砲から高機動ロケット砲システムHIMARS(ハイマース)などで代替する提案もあったという。 

国防部は3日の記者会見で、地対空ミサイル「スティンガー」についても国際情勢の変化により引き渡しが遅れる可能性があることを認めた。

ルビオ氏は、中国共産党による台湾への侵攻は「この10年以内に起こりうる」とし、台湾は米国の支援を必要としていると述べた。「プーチンのウクライナ侵攻は、権威主義的な政権が隣国を侵略した最初の例ではなく、残念ながら最後でもないだろう」「台湾への攻撃を抑止するためにできる限りのことをしなければならない。さもなければ、中国共産党にインド太平洋地域を奪われるかもしれない」と法案の意義を強調した。

近年、中国軍の台湾領土への侵入はここ2年ほどの間に頻繁に起きるようになった。中国共産党は軍事力を背景にした圧力で、台湾の指導者を西側との関係から遠ざけ、民主政治を放棄させようとしている。

1月には中国の軍用機39機による防空識別圏(ADIZ)への侵入があり台湾空軍機が緊急発進(スクランブル)した。その後、3月14日に中国軍機13機が、5月6日に18機が台湾のADIZに侵入した。

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