アメリカの研究によると、睡眠不足の人は食べる量が増え、お腹に脂肪を溜め込みやすい傾向があるそうです。写真は、男性が自分のウエストを測っているところです。(spukkato / PIXTA)

【研究】減らないお腹の脂肪は夜更しが原因か

夜更かしが好きで睡眠不足の方は要注意です!アメリカのある研究によると、睡眠不足の人は食べる量が増える傾向にあるそうです。さらに悪いことに、摂取した余分なカロリーは脂肪として腹部に蓄積され、お腹を大きくしてしまうのです。

「United Press International」のレポートによると、アメリカの成人の3分の1以上が、夜勤やソーシャルメディアに耽って夜更かしするなどにより、しばしば睡眠不足に陥っているとのことです。

睡眠不足が脂肪蓄積に及ぼす影響を調べるため、メイヨー医科大学(Mayo Clinic College of Medicine)の研究者は、12人の健康な人を対象に小規模な調査を実施しました。参加者は19歳から39歳で、太り過ぎではない人たちです。

21日間の研究では、参加者全員が4日間の環境適応(夜間9時間の通常睡眠)、その後14日間の睡眠制限(夜間4時間の睡眠)または対照実験(夜間9時間の通常睡眠)を行い、最後に3日間の回復期間(夜間9時間の通常睡眠)を設けました。

この間、参加者は全員好きなものを食べてよいですが、研究者は食べたものをモニターし、エネルギー摂取量や体重などさまざまなデータを繰り返し記録しました。

 

ハンバーガーとフライドポテトを食べる男性 。(Shutterstock)

 

この実験によって研究者らは、参加者が睡眠制限中に通常より13%多くのタンパク質、17%多くの脂肪を消費し、活動量に有意な増減がないことを発見しました。

研究を率いた医学部循環器内科のソマーズ教授によると、睡眠制限期間中、参加者は約1ポンド(0.45kg)しか増えておらず、その差は有意ではありませんでした。しかし、ソマーズ氏は「私たちにとって驚きだったのは、睡眠制限が終わり、食事が通常のレベル(食事量の減少)に戻った後も、参加者は内臓脂肪を増やし続けていたことです」と述べています。

ソマーズ氏は、腹部や内臓周辺に蓄積する脂肪である内臓脂肪は、心血管疾患の原因となる有害物質を生成するため、最も危険な脂肪であると説明しています。

さらに、睡眠不足は脂肪の蓄積につながり、たとえ寝たとしても必ずしも正常に戻るとは限らないと彼は付け加えています。これはスイッチのように付けたり消したりできるものではありません。

しばらく睡眠不足が続くようなら、食事の量や内容に気をつけ、もっと運動したほうがいいと提案しています。

この研究結果は、『Journal of the American College of Cardiology』誌の4月5日号に掲載されました。

(翻訳・里見雨禾)

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