脂肪肝とは、一般に中性脂肪と呼ばれるグリセリン脂肪酸(グリセリンエステル)が、肝臓に蓄積され過ぎた状態を指します。
食事がまねく肝臓への脂肪蓄積
脂肪肝は2つのタイプに分けられます。1つは過度の飲酒によるアルコール性脂肪肝。もう1つは非アルコール性脂肪肝で、後者が一般的な脂肪肝です。
漢補世家漢方クリニックの副院長である許中厳氏は、「非アルコール性脂肪肝の成因は2つあり、1つはカロリーの摂取オーバー。もう1つは、運動によるカロリー消費が少なすぎることで、これは日常生活のパターンに関係しています」と指摘します。
肝臓に脂肪がたまる主な原因は、高脂肪かつ高糖分の食事です。
お酒をたくさん飲むことも脂肪肝になりやすいので、注意してください。「鶏の唐揚げとビール」が好きな人は、脂肪肝リスクの高い組み合わせをわざわざお店で注文していることになります。
病気の要因となる生活習慣
現代人は、どうしても長時間座ったままのデスクワークが多く、総じて運動量が不足しています。そのため、摂取したカロリーを消費する機会が少なすぎることも脂肪肝の原因になっています。
さらに、ストレスや夜更かしといった要因が重なると、体の正常な代謝が鈍化して、脂肪がたまってしまいます。
肝臓の機能は、体内を解毒し、体に必要なエネルギーを貯蔵することですが、その結果として、余分な脂肪はこの臓器にどんどん蓄積されることになります。
一般的に、肥満の人や体重過多の人は、脂肪肝の可能性があります。
ただし、一部の人は、四肢などは太っていないため特に体重過多ではありませんが、お腹周りが大きい場合があります。このような人も、脂肪肝になる可能性が高いと言えます。
腹部肥満の人は、内臓脂肪が多いことを表しています。
腹部の脂肪とコレステロールおよび中性脂肪との関係は、直接的には等号(イコール)で結べませんが、許中厳氏によると、臨床上で観察した結果、脂肪肝の患者は「通常よりもお腹が大きい」ことは言えるそうです。
脂肪肝は、その初期や中期には兆候がほとんどないので、通常は、定期健康診断のときに発見されます。
「老化を加速する」は本当か?
脂肪肝は、肝硬変や肝臓がんのリスクを増すだけでなく、脳の老化あるいは脳の萎縮も早めてしまいます。
2018年1月に、米国の医療専門誌『JAMA Neurology(神経学)』に掲載された研究では、非アルコール性脂肪肝が脳容量の減少と有機的に関連していることが示されています。
766人を対象としたこの研究では、全体の脳容量の差からみて、脂肪肝のある人はない人に比べて「脳が4.2歳古い」つまり老化が進んでいることがわかりました。とくに60歳以下の被験者を見ると、脂肪肝の人は「脳が7.3歳老いている」と言います。
(次稿に続く)
(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)
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