朝の「目やに」は眼が健康な証拠「でも、この場合は注意して」
毎朝、目が覚めたとき、目やにが出ているのは普通のことです。
しかし、目やにが突然多くなったら、感染力の強い目の病気であるかもしれません。その場合、1人が感染すると家族や周囲の人、全員が感染しやすくなりますので注意が必要です。
人は夜寝ている間に、目の中の汚れを取り除き、一か所に固めます。
これがいわゆる「目やに」ですので、通常は眼が健康な証拠と考えて結構です。
しかし一日中、目から粘り気のある分泌物が出ていたら、流行性の角結膜炎である可能性が高いです。家族や周囲の人に感染させないよう注意しながら、速やかに眼科を受診してください。
大量の目やにが出る病気としては、以下の3つが考えられます。
1、流行性角結膜炎
流行性角結膜炎は、まぶたの裏側と眼の正面を覆う膜が炎症を起こす病気です。主として、細菌やウイルス感染が原因で起こります。
感染力が非常に強いので、患者の両目が同時に、あるいはほとんど前後して罹ることが多い眼病です。驚くほど大量の目やにが出ますので、寝ていた状態から目が覚めると、上下のまぶたが目やにで粘着された状態になることもあります。
そのほか、目の痒み、異物感、まぶしさ、目が赤く腫れる、などの病状があります。日本では、その感染力の強さから「はやり目」とも呼ばれています。
まれなケースですが、流行性角結膜炎は風邪ウイルスも病原となるため、上気道の風邪と同時に発症することもあります。
花粉アレルギーなどのアレルギー体質で目が痒くても、目やにが増えることはありません。ただし、汚れた手で眼をこすることで、その後の感染を招き、角結膜炎になることは起こり得ます。
2、角膜潰瘍
角結膜炎に比べれば少ないケースですが、病的な目やにの原因として、角膜潰瘍もあります。細菌、ウイルス、カビ、アメーバ原虫などが目に侵入し、角膜に潰瘍ができる病気です。
原因としては、逆さまつ毛の処理や異物が入って目が傷つくこと、あるいは不適切な点眼などがあります。
しかし最も多いのは、やはりコンタクトレンズの使用に関係する要因です。例えば、長時間の着用、就寝中の使用、レンズの手入れが適切に行われていない、などです。
3、新生児の目やに
新生児の目やには、母親の産道を経由して感染する場合もありますが、通常は、鼻涙管がふさがっていることにより、片目あるいは両目の目やにが増えるケースが多いです。
先ほども述べたように、流行性の角結膜炎は感染力が強いので、以下の点に注意してください。
目やにが突然増えた場合は、ご自身と周囲のために、すぐに眼科を受診して、長引かせないことをお勧めします。炎症が重度になると、角膜にウイルスが浸潤することで、治療が数週間に及ぶこともあります。
角結膜炎の患者は、手をこまめに洗うとともに、使ったタオルや洗面器、枕などを他の人と共用しないようにします。また、患者が使ったタオルは、他のものと別に洗濯するようにしてください。
そうは言うものの、人は自分の顔を無意識に触ってしまうものです。
ある医学専門誌によると、オーストラリアの医学生の行動を観察した2015年の論文で、「手指の衛生に注意するはずの医学生でさえ、気づかないうちに自分の目や鼻など、顔に多く触れていた」と言います。
そのため、流行性角結膜炎の患者は、まずは自分が意識して手洗いを励行するとともに、不用意な接触によって周囲の人への感染を避けるため、自身が完治するまでは、公共の場所などへの出入りを遠慮したほうが良いでしょう。
(翻訳編集・鳥飼聡)