どの家庭の台所にもある食材のなかで、ニンニク、ショウガ、トウガラシ、シナモン、クローブなどの香辛料が、あなたの血糖値を下げる助けになります。
キッチンにある6種類の「血糖値降下薬」を、ご紹介します。
1、シナモン(桂皮)
肉桂(ニッキ)の独特な香りで知られるシナモンは、日本でも医薬品として江戸時代から知られており、また和菓子の風味づけ(八ツ橋など)にも利用されてきました。
シナモンは、血糖コントロールを補助することでも知られています。インスリン感受性を高めることで食後血糖値の急上昇を抑え、2型糖尿病のリスクを軽減します。
糖尿病や肥満を専門とする医学雑誌『Diabetes、Obesity and Metabolism』が2009年に掲載した記事によると、シナモンを薬味や香料として料理に利用することで、空腹時血糖値を10~29%下げることができると言います。
またシナモンには、食欲を抑えて食べ過ぎないようにする働きもあります。食事を適正量にすることも、血糖コントロールに役立ちます。
2、ニンニク(大蒜)
ニンニクは、多くの効能をもつ野菜です。
がんリスクを軽減し、コレステロールを低下させ、動脈硬化を避けるのにも役立ちます。また、ニンニクを定期的に摂取することが、血糖値の抑制に役立つという意見もあります。
台湾の栄養士である梁家渭氏によると、ニンニクに含まれるアリシン、ポリフェノール、クエルセチンなどの物質は、いずれも血糖コントロールに役立つと言います。
梁氏は、「有機硫化物の一種であるアリシンは、血管をリラックスさせることで血圧を下げるのに役立ちます。また、インスリン生成を促進するため、血糖値を下げる効果も期待できます」と、ニンニクのもつ健康効果を高く評価しています。
3、ショウガ(生姜)
ショウガに含まれる辛味成分であるジンゲロールは交感神経を刺激し、全身の循環とエネルギー消費を増加させ、インスリン感受性を高めます。
その作用により、ショウガは血糖値を抑制し、糖尿病患者のインスリン反応を調節するのに役立つことが複数の研究で証明されています。
イランの薬学専門誌に2015年に発表された研究では、「2型糖尿病患者にショウガ粉末のサプリメントを12週間飲ませたところ、空腹時血糖値が改善された」と言います。
4、トウガラシ(辣椒)
トウガラシは体の代謝を促進します。
代謝がよくなれば血液中に糖分を貯蔵しすぎることが避けられ、このことは結果的に血糖値をコントロールできることを意味します。
オーストラリアのタスマニア大学は2006年、36人の健康な成人を対象に、チリペッパー風味の効いたハンバーガーを食べた後の血液サンプルを採取して、それ以外の食事をとった場合との違いを調査したことがあります。
研究者は、被験者がチリペッパー風味のハンバーガーを食べた時と比較して、それ以外の食事をとった後ではインスリン値が急上昇したことを発見しました。血中インスリンが高すぎると、インスリン抵抗性を誘発しやすくなります。これは2型糖尿病の主な原因の一つとされています。
5、ウコン(鬱金)
カレー粉の鮮やかなオレンジ色はウコン(ターメリック)によるものです。
血糖値の抑制を含めて、ウコンの保健効果は、その根に含まれるクルクミンに関係があると言われています。
多くの専門研究により、クルクミンが糖尿病患者におけるインスリン抵抗性とコレステロール値の改善に役立つことが分かっています。また、その他の研究により、ウコンは糖尿病の前期症状を改善し、糖尿病の進行を防ぐことができると言います。
6、クローブ(丁香)
クローブは、インド料理では定番の香辛料です。ポリフェノール類の抗酸化物質を含み、血糖値コントロールに効果があります。
2019年にインドで行われた研究では、13人の健康な被験者にクローブ抽出物を12日間続けて摂取させたところ、食後の血糖値が著しく低下したことが分かりました。
食事の改善によって血糖値を下げ、安定させるには、比較的長い時間と根気が必要です。
しかし、ここに紹介した香辛料を日常の料理に使うことでも、その効果を得ることができます。
上述のシナモンパウダーは便利な「血糖抑制食材」です。コーヒーや紅茶に直接かけてもよく、切ったリンゴにまぶしてオーブンで焼くとおいしいお菓子になります。
高血糖や糖尿病の人には、デンプン質を使ったお菓子は向いていませんが、たまには香り豊かなシナモンロールを食べてもよろしいでしょう。シナモンは食欲をそそるだけでなく、血糖の上昇を抑えられます。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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