脳の冴えを保ち認知症を予防する朝食 食べるべきもの食べるべきではないもの(1)
多くの人が、加齢に伴って増加する認知症の発症時期や予防法について知りません。米国疾病対策予防センター(CDC)によると、米国内だけでも500万人以上が罹患しており、65歳以上の高齢者に多く見られるとされています。
臨床統計によると、血圧を健康に保つこと、禁煙、適度な体重、定期的な運動、健康的な食事、脳の冴えを保つことなどが、認知症予防に役立つと言われています。特に健康的な食事は、体の器官に大きな影響を与えるのでとても重要です。
朝食は1日のうちで最も重要な食事ですが、通常は自宅で食べるため、抗酸化物質、ビタミン、食物繊維などの主要な栄養素を確実に摂取することができ、多くの人にとって最も管理しやすい食事でしょう。健康的な朝食は、太りすぎを防ぎ、冠状動脈性心臓病のリスクを軽減します。
血糖値を最適にコントロールし、認知能力を最適にするためには、タンパク質、健康的な脂肪、食物繊維、何らかの野菜を含む朝食が理想的です。ですから、バランスのとれた朝食をとることは、一日を正しい方向に進めるだけでなく、長い目で見れば、脳を鋭敏にすることにもつながるのです。
栄養士による、脳の冴えを保つのに最適な朝食習慣を5つ紹介します。
1.クルミを食べる
もし遅く起きてしまい朝食をとる時間がないときは、殻つきのクルミを袋に詰めて、通勤・通学途中のおやつにしましょう。
「クルミは、オメガ3系多価不飽和脂肪であるALA(α-リノレン酸)の優れた摂取源です」。登録栄養士のモリー・ヘンブリー氏は「Eat This, Not That」に、「クルミには1オンス(約28g)あたり2.5g(α-リノレン酸が)含まれており、認知症対策に役立つかもしれません」と語っています。
2.ゆで卵を食べる
卵はどの調理法でも調理することが可能で、高タンパクで腹持ちがよく、定期的に食べれば体重を維持でき、筋肉もつけられる朝食となります。また、卵は子どもの知能を高める効果もあります。卵黄を食べた子どもは、卵白やヨーグルトを食べた子どもに比べ、短期学習、注意力、記憶力のスコアが向上するという研究結果が出ています。
21年間にわたり30歳から70歳までの2万5千人以上を対象に行われた大規模な研究では、卵が高齢者の脳を活性化させる可能性があることが示唆されています。最先端の栄養学研究により、卵の摂取と認知症、特にアルツハイマー病のリスク低減との間に関連性があることが判明しました。
「卵には、認知機能の低下から脳を守る栄養素であるルテインやコリンが含まれています」と、登録栄養士で医療専門家のリサ・ヤング氏が「Eat this, Not that」で語っています。
3.シリアルはオートミールを選ぶようにする
「Tanya B Nutrition」社の創設者で、登録栄養士、認定糖尿病教育者であるターニャ・フライリッヒ氏は、葉酸、ビタミンE、フラボノイドなどの特定の栄養素の欠乏は、認知機能の低下、記憶喪失、認知症の発症と関連していると「Eat this, Not that」に述べています。葉酸やビタミンB12などのビタミンB群を豊富に含む全粒粉のオートミールを朝食に定期的に食べるよう、クライアントにアドバイスしています。
「神経機能を維持し、認知機能の低下を防ぐのに役立つビタミンEを増やすために、私はいつもオートミールにアーモンド、クルミ、亜麻仁、チアシード、ひまわりの種、かぼちゃの種などのナッツや種を加えることをお勧めしています」と彼女は言います。
また、オートミールにフラボノイドを多く含むベリーやチェリーをトッピングすると、神経接続を保護し、アルツハイマー病の予防に役立つと付け加えています。
4.フルーツ/野菜スムージーを飲む
ベリー類や葉野菜を使ったスムージーは、脳の健康に良いとされています。
これらの食品に含まれる栄養素を定期的に摂取することで、アルツハイマー病のリスクを最大53%低減できるという研究結果があります。「ベリー類と葉物野菜は、脳の健康増進に関連するMIND食に含まれる、脳に良い食品のうちの2つです」と、「YourDiabetesDietitian」のオーナーで登録栄養士のジャスティン・チャン氏は、「Eat this, Not that」に語っています。
MINDダイエットでは、植物性の食品を中心に摂取し、動物性食品や飽和脂肪を多く含む食品の摂取を制限しています。植物性の食品に重点を置き、特にベリー類と葉物野菜の摂取を増やすことが重要です。
2013年に発表された研究では、加齢に伴いベリーを大量に摂取した参加者の認知機能の低下が遅く、その差は最大で2.5年であることがわかりました。2011年に発表された別の研究では、ワイルドブルーベリージュースを飲むことは、軽度認知障害の人の認知機能の改善と関連していることが明らかになりました。
緑の葉野菜には、脳の働きを高めるビタミン類が含まれています。58歳から99歳の成人を対象とした2018年の研究では、緑の葉野菜を食べる人は食べない人に比べ、認知能力では最大で11歳の差が生じることが明らかになりました。
5.朝食に糖分の多い炭水化物を食べない
朝食は、甘い炭水化物を食べる習慣が付きやすいです。卵やオートミールを食べない人は、ドーナツやベーグル、朝食用のペストリーを食べたり、コーヒーを飲んだりしている人も多いでしょう。
「短期的には、精製糖と飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く使ったケーキは、(体内の)ブドウ糖の急激な上昇と下降により、脳内霧や精神疲労を引き起こす可能性があります」と、「Balance One Supplements」の登録栄養士、トリスタ・ベスト氏は語ります。
砂糖入りシリアルの糖分と加工された性質は、体重増加、慢性的な低レベルの炎症、腸内環境の悪化に寄与しています。
「炎症は認知機能を低下させ、腸内環境の悪化は脳腸軸(脳と腸は密に関連していること)により、脳機能の低下につながります」とベスト氏は述べています。
(翻訳・香原咲)