コロナ後遺症による認知障害「回復には座禅が有効」

中共ウイルス(新型コロナウイルス)による感染症を発した患者は、その回復後にも、多くの人に中国語で「長新冠(長期にわたるコロナ後遺症)」と言われる症状が現れます。医療専門家は、早めのスクリーニング検査および適切な治療を推奨しています。

2021年10月に発表された世界保健機関(WHO)の臨床定義によると、いわゆる「コロナ後遺症」とは、「通常はウイルス感染後3カ月以内に発症し、少なくとも2カ月間継続する、他の病気では説明できない症状」であると言います。

具体的な症状としては、極度の疲労、息切れ、胸痛あるいは胸部の圧迫感、味覚や嗅覚の変化、関節痛、脳の霧(ブレインフォッグ)などがあります。

台湾職能治療学会理事長の呉菁宜氏によると、いわゆる「脳の霧」は認知障害の一種であり、主に記憶力と注意力の低下に現れると指摘します。

この症状が出た患者は、何かに集中することが困難で、思考速度も遅くなり、言いたいことさえうまく言えなくなることもあります。

豪シドニーのセントビンセント病院の最新研究によると、「コロナ後遺症は患者の脳に霧を発生させ、記憶を失わせることもある」と言います。

この研究では、128人のコロナ患者を12カ月間追跡調査したところ、約20%の患者が、1年間にわたって重度の「霧」または健忘の症状がみられたと報告しています。

香港中文大学公共衛生学院の徐仲教授は、コロナ感染後の病状が比較的軽微であった若い人や高齢でない成人も、その後遺症として、認知障害になるケースが大幅に増加していると指摘します。

一方、座禅などによる「瞑想」が、大脳への血液供給を増やし、損傷した脳細胞を修復するのに有効であるという研究結果もあります。

カリフォルニア大学ロサンゼルス分校の精神神経免疫学精神科医であるジョージ・スラビッチ氏と、南カリフォルニア大学の予防医学研究者であるデビッド・ブラック氏の共同報告によると、「日常のなかでよく座禅をする人は、座禅をしない人に比べて、テロメアの長さが長い」と言います。

細胞のテロメアが短いことは、細胞の老化が早く、多くアポトーシス(細胞死)していることを示します。この報告は、座禅が細胞の老化速度を遅くすることを示すものです。

ハーバード大学医学部助教授で神経学者のサラ・ラザル氏の研究によると、「瞑想を続けている人は、50歳になっても前頭葉の大脳皮質が25歳の若者と同様に多いことが分かった」と言います。

前頭葉の灰白質は知能を司る部分です。老化とともに灰白質の体積が減少し、知能の低下あるいは認知機能の低下をもたらしますが、座禅などによる瞑想は、大脳への血液供給を増やし、その老化を遅らせるとともに、認知機能を回復できる可能性もあります。

(翻訳編集・鳥飼聡)