赤身の肉、加工肉、砂糖、細粒穀物を多く含む欧米型の食事は、大腸がんのリスクを有意に高めることが新しい研究で明らかになりました。
米国のブリガム・アンド・ウィメンズ病院が主導したこの研究は米国全体で行われ、13万4千人の被験者からなる2つの大規模研究のデータを調査し、この結論に達しました。
研究者たちは、参加者の食事構成と、そのうち1000人以上の大腸がん患者の腫瘍細胞に含まれる大腸菌(E. Coli)の遺伝子データを分析し、明確な関連性を見出したのです。
主任研究者の一人であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院の荻野周史氏は、医学情報サイト「Medscape」に「我々の研究では、欧米型の食事と大腸がん内部の細菌株との間に関連性が見られた」と述べました。 欧米型の食事が大腸がんを引き起こすのは、この細菌が介在しているという説があり、今回の研究はこの説を支持する証拠を示しています。
大腸菌は、人や動物の腸内に常在している細菌で、ほとんどが無害ですが、少数の菌株が重篤な胃腸病を引き起こすことがあります。この研究では、このうち、ポリケチド合成酵素(略称:pks)のゲノムアイランドがユニークな菌株に着目しました。ゲノムアイランドとは、水平方向の起源の証拠があるゲノムの一部です。遺伝子の水平伝播とは、母細胞から娘細胞への遺伝ではなく、個体間や他生物間において起こる遺伝子の取り込みのことを指しています。
pksがコードするタンパク質は、人の細胞内で変異を起こす酵素です。この研究では、欧米風の食事が、pksを持つ大腸菌を多く含む大腸腫瘍と関連していることが明らかになりました。研究者らは、この研究で1175人の大腸がん患者の腫瘍細胞を分析し、そのうちの111人がpksを持つ大腸菌を多く含む腫瘍を有していることを発見しました。
研究者らは、今回の研究では、欧米型の食事と大腸がんとの間に大腸菌経路を介した明確な関連性が見られただけであり、より具体的な関連性を明らかにするためにはさらなる研究が必要ですが、今回の結果は臨床的に重要な意味を持つと述べています。
「欧米型の食生活をしている人は、大腸がんになるリスクが高い」と荻野周史氏は言います。「この高リスクの人達は、低リスクの人達よりも多くスクリーニングする必要があります。ターゲットを絞った個別のスクリーニングを受ける必要があるかもしれません」。
一方で、食事パターンががん予防に重要な役割を果たすことも示唆しています」と荻野周史氏は付け加えました。
この研究は、6月24日付の『Gastroenterology』(胃腸病学雑誌)に掲載されました。
(翻訳・李明月)
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