3万5000人超の大腸がん患者を分析した新たな研究で、手術後6年経過時点で再発リスクが0.5%未満に下がる重要な節目が明らかになり、いわゆる「実質的な治癒」を示す可能性があるとされました。
手術後6年間がんが再発していない大腸がん患者は「治癒」と考えられる可能性があるとし、長年続いてきた再発への不安に対して、明確な指標を提示できると期待されています。
「これは、患者さんを実質的に『治癒』とみなせる時点を定義する助けになります」と、カリフォルニア州ロングビーチのシティ・オブ・ホープがん治療センターの医療腫瘍医、クルシャンギ・パテル博士(研究には非参加)はエポックタイムズに語りました。
研究でわかったこと
『JAMA Oncology』に掲載されたこの研究は、ステージ2・3大腸がんの患者3万5,000人超を含む15件の第3相ランダム化臨床試験を対象にしています。すべての患者ががん切除手術と補助化学療法を受け、追跡期間は最低6年でした。
治療後1~10年の間で再発率は0.5%を超えず、全体として手術から6年経過した時点で再発率が0.5%未満になっていました。
研究者たちは、この結果を踏まえ「手術後6年間再発がなければ、実質的に治癒とみなせる可能性がある」としています。
患者がこの節目に達した場合、がん関連のフォローアップを中止しても安全と考えられ、生活の質の向上や医療費の削減につながる可能性があると述べています。
「手術後6年で再発率が0.5%未満となり、実質的治癒という定義を支持する結果になりました。この節目を認識することは、患者とのコミュニケーションの改善や、フォローアップ期間の指針となり、不必要な長期の監視を減らすことにつながります」と著者らは記しました。
患者と医師にとっての意味
著者らは腫瘍医として、ある程度確信を持てる節目に達した患者に対して「治癒の可能性が高い」と伝えることは重要だと述べています。
この知識は、治療を乗り越えた患者が回復を前向きに受け止め、不安の軽減や心の安定など、心理的な恩恵を得る助けにもなると考えられています。
「再発の可能性が極めて低い段階を認識することで、患者さんとのコミュニケーションが改善され、長期的な再発不安が軽減されます。また、無期限に厳しい監視を続けるのではなく、より適切なフォローアップ計画につなげることができます」とパテル博士は述べました。
研究の限界
前向きな結果である一方、いくつかの限界も指摘されています。試験ごとに治療内容やフォローアップの方法が異なっていた可能性があり、また他の原発がんに関する情報が限られていた点も結果に影響した可能性があります。
さらに、医学的には再発の可能性0.5%未満は非常に低いとされますが、個々の患者がこの数字をどう受け止めるかは異なり得ます。
「この統合解析の結果は、臨床医と患者の双方にとって大きな意味があります」とパテル博士は述べ、長期生存者を支えるケア計画に役立つとしています。
(翻訳編集 日比野真吾)
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