11月27日、カナダ政府は新たなインド太平洋戦略を公表した。ラトビアの軍事基地を訪れ、カナダ軍兵士と面会するトルドー首相。3月撮影(2022年 ロイター/Ints Kalnins)

カナダが新たなインド太平洋戦略、中国には硬軟両面の対応

[オタワ 27日 ロイター] – カナダ政府は27日、新たなインド太平洋戦略を公表した。軍事力強化やサイバーセキュリティー対策に23億カナダドル(17億米ドル)を投じるほか、中国に対して「秩序破壊的な」行動に断固対処しつつも、気候変動や貿易問題では協力していく柔軟な対応を打ち出しているのが特徴だ。

トルドー首相が率いるカナダの現政権は、米国への依存度が高過ぎる経済構造の多角化を目指し、急成長を続けるインド太平洋地域との結び付きを強めようとしている。ただ今回主眼が置かれたのはやはり中国で、公表された戦略文書において圧倒的に言及が多い。

ジョリー外相は「われわれは外交こそが1つの強みだと考えており、積極的に関与していく。同時に確かな姿勢も示すつもりで、だからこそ中国への関与について非常に透明性の高い計画を保有している」と語った。

中国との絡みでは、知的財産を保護するための外資規制強化や、中国の国営企業が重要な鉱物資源を取得するのを防ぐ方針も盛り込まれた。

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