2月24日、岸田文雄首相(写真)は記者会見で、今年の主要7カ国(G7)議長国としてウクライナ問題に対する結束を主導していくとした上で、ロシアに対する「新たな制裁の考えを示したい」と述べた。国会で1月撮影(2023年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

日銀新総裁とは着任後に早期に面会、政府との連携確認したい=岸田首相

[東京 24日 ロイター] – 岸田文雄首相は24日の記者会見で、次期日銀総裁候補の植田和男氏が着任した際には、できるだけ早く面会し、政府と日銀の連携について確認したいと述べた。首相自身のウクライナ訪問については諸般の事情を踏まえて検討しているものの、現時点で「決まっているものはない」とした。

衆院の議院運営委員会は24日、次期日銀総裁候補の植田和男氏と、副総裁候補の内田真一氏、氷見野良三氏の所信聴取を行った。植田氏は政府との関係を巡って「中銀の独立性が必要」としつつ、「マクロ政策運営は政府と中銀の意思疎通が重要」と述べた。2013年の共同声明については、文言を「直ちに変える必要はない」との認識を示した。

首相は、植田氏の国会での発言について全体的に「政府として特段違和感のある内容はなかった」と述べた。日銀の正副総裁候補の人選にあたっては、政府との連携のもとに経済・物価・金融情勢を踏まえつつ適切な金融政策運営を行っていく人物を念頭に検討してきたと説明。「政府・日銀一体となって物価安定下での持続的な経済成長の実現に取り組んでいきたい」と強調した。

首相はウクライナ情勢が不透明な中、世界的な物価高騰に警戒が必要とも述べた。総合経済対策や補正予算の執行を加速するとともに、状況に合わせて機動的な対応をとっていく考えも示した。

<ウクライナ訪問、現時点で「決まっているものない」>

主要7カ国(G7)は日本時間の24日夜、ロシアによるウクライナ侵攻から1年経過したことに合わせ、テレビ電話形式で首脳会議を開く。ウクライナのゼレンスキー大統領も参加する予定。岸田首相は同会議においてG7が結束して対ロ制裁やウクライナ支援を維持・強化していくことを確認し、5月のG7広島サミットにつなげていきたいと語った。

岸田首相は、ロシアのプーチン大統領が新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を表明したことに強い懸念を示した。ロシアが核兵器の使用をちらつかせて威嚇していることも、断固拒否するメッセージを発信することが重要だと指摘。「非難されるべきはロシアであり、G7広島サミットにロシアを関与させることは考えていない」と述べた。

日本は破壊されたインフラの復旧などのため、ウクライナに対し55億ドル(7425億円程度)の追加財政支援を行うとすでに表明している。一方、米国のバイデン大統領がキーウを訪問したことで、G7首脳の中で訪問を実現できていないのは岸田首相のみとなった。首相は自身のウクライナ訪問について、安全確保や秘密保護など諸般の事情を踏まえて検討しているが、現時点で決まっているものはないと語った。

(杉山健太郎)

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