(続き)
3.座ったまま森を眺めれば、自律神経を整え、心身を癒す
2010年に医学誌「環境衛生と予防医学(Environmental Health and Preventive Medicine)」に掲載された研究によると、森を歩いたり、森に座って豊かな自然を眺めるだけで、コルチゾールや血圧、心拍数、交感神経の活動が低下し、副交感神経の活動が活発になり、自律神経を整える効果があることが分かりました。
また、疲労を軽減し、気分を向上させる効果もあります。
街中を歩いたり、座って街を眺めたりしても、これらの癒し効果は見られませんでした。研究者たちは、合計280人の被験者を募り、日本全国24の森で実験したところ、その結果はいずれも一貫していました。
また別の研究結果では、たとえば、木々を眺めたり、自然の風景の写真を見ることで、体を癒し心身のストレスを解消することもできるといいます。
1984年に有名な医療環境建築家のロジャー・ウルリッヒ(Roger Ulrich)氏が科学誌「サイエンス」に発表した研究によると、病室の窓の外に豊かな緑がある患者は、他の患者よりも回復時間が短く、鎮痛剤の使用や術後の合併症も少なかったそうです。
2010年の「衛生環境研究及び設計ジャーナル(Health Environments Research & Design Journal)」誌の研究では、緑の風景や小川、花の写真を数分見るだけで、筋肉の緊張、心電図、血圧などの生理的パラメーターが緩和され、痛みや怒り、不安が軽減されることが示されました。
簡単にできる森林浴の楽しみ方
森の中に入っていくだけで、もう森林浴をしているようなものです。李卿(リー・チン)氏によれば、森林浴は運動やハイキングではなく、五感を使って森を感じることだそうです。五感を開放することで、自然とつながることができます。
まず、携帯電話やカメラをしまって、気軽に散策してみましょう。目的がなくても大丈夫です。
鑑賞する:花や木、渓谷や小川を眺め、葉や枝の間から差し込む陽の光を観察します。
聞く:鳥や虫の声、水の流れる音、揺れる葉や枝のざわめきに耳を傾けてください。
嗅ぐ:深呼吸をして、森の新鮮な空気と木々の香りを楽しみます。
触れる:木の幹に触れたり、手足を水につけたり、芝生に寝そべって休んだりします。
森に出かけるのが難しい場合は、近くの公園を散歩したり、オフィスや自宅に美しい自然の風景の写真を飾ったり、部屋に純粋な天然エッセンシャルオイルを置いたりなど、試してみると良いでしょう。
(完)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。