2019年10月14日、アイオワ州リッピーのバードール&ソンズ農場の畑で収穫された大豆を積んだトラック (Joe Raedle/Getty Images)

米下院の超党派議員、中国による農地購入禁止法案を発表

米下院の超党派議員は17日、中国共産党の関連組織による農地購入の阻止を目指す法案を発表した。国家安全保障の観点から、議会で高まる中国資本による土地買収阻止の動きを加速させる。

「米農地を外国勢力から守る法案」はデール・ストロング議員(共和党)とアビゲイル・スパンバーガー議員(民主党)が提出した。土地のリースや購入の禁止に加え、農務省のプログラムに参加することを禁止する。中国のほかイラン、北朝鮮、ロシアといった「外国の敵対的国家が所有・支配する」個人または団体を対象としている。

米国市民や永住権保持者は対象外となった。

ストロング氏は声明で「中国共産党が米国の自由で開かれた社会の弱みを突こうとする中、国益を損なおうとする者から米国民を確実に守ることは、私たちの責任だ」と強調した。

中央情報局(CIA)の元職員でもあるスパンバーガー氏は、情報分野で仕事を通して「中国共産党の積極的な影響力工作がもたらす脅威と、一見無害な取引を通じて米国の国家安全保障上の利益を狙おうとする試み」が明確になったと指摘。食料安全保障や国家安全保障を脅かす者へは「対抗手段を講じる必要がある」と強調した。

上院では3月、マイク・ブラウン議員らが同様の法案を発表している。

米国農務省によると2020年末時点で、中国による米農地所有面積は約32.5万エーカーを記録した。これは外国人が所有する農地全体の1%に満たないが、その保有面積は10年前と比べ20倍以上と急増している。

いっぽうで、抜け穴や申告漏れにより、米政府は外国資本による土地所有面積を明確に把握することができていないのが現状だ。

トム・ビルサック農務長官は3月の下院農業委員会の公聴会で外国資本による土地所有記録を蓄積するためのプロセスがないことや、自発的な申告などを問題視していた。

2023年5月8日、ワシントンのJWマリオットで開催されたサミットでスピーチするトム・ビルサック農務長官 (Chip Somodevilla/Getty Images)

中国共産党の脅威を念頭に米国の各州議会は法整備に動いている。最近ではフロリダ州で中国企業による不動産取得を阻止する法案が成立したばかり。法案に署名したデサンティス知事は「食糧供給を守ることは、安全保障の問題だ」と強調した。

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