アンモニア輸送パイプライン破損、黒海穀物複雑化の恐れ
[7日 ロイター] – ロシアからウクライナを経由して肥料用のアンモニアを輸送するためのパイプラインが破損したことがウクライナとロシア両国の報告で分かった。同パイプラインは黒海経由の穀物輸出合意で重要な役割を果たしていると見られることから、穀物輸出合意を巡る協議が複雑化する恐れがある。
ロシア国防省は「ウクライナの破壊工作グループ」が5日夜、ウクライナ東部ハリコフ州のマシウティフカ村の近くでパイプラインの一部を爆破したとし、「このテロ行為の結果、民間人に死傷者が出た」と表明。「パイプラインの損傷した部分から現在、アンモニアが吹き出している」とした。同村はロシア軍とウクライナ軍の最前線にある。
これに対し、ウクライナのシネグボフ・ハリコフ州知事はロシア軍が州内のアンモニアパイプラインに繰り返し砲撃を行ったと表明。ロシア側の主張と食い違いが出ている。
シネグボフ知事は、ウクライナがパイプラインを爆破したとロシアが主張してから約24時間後の現地時間6日午後5時45分(GMT1445)頃、ロシアの砲弾6発がマシウティフカ付近のポンプ場の近くに着弾したとしている。
ロイターはロシアとウクライナの主張を独自に確認できていない。
黒海の穀物輸出合意は国連も仲介。国連のデュジャリック報道官は「国連は(アンモニアの)パイプラインの損傷に関する公式な通知を受けていない」とした上で、「パイプラインに対するいかなる脅威も懸念すべきもので、アンモニア輸出に関する当事者と関わりを持ち続ける」と述べた。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は7日の記者会見でパイプラインの損傷部分の修理には1─3カ月かかるとの見通しを示し、「アンモニアを輸送するパイプラインは黒海経由の穀物輸出合意の重要な要素で、世界の食料安全保障にとっても重要だった」と述べた。