2019年7月7日撮影。香港の民主化を求める抗議デモ参加者を逮捕する香港警察。(VIVEK PRAKASH/AFP/Getty Images)

進む「香港刑務所の新疆化」 中国式の洗脳で、香港の未来に「絶望感」を植え付ける=報道

香港では2019年から2021年にかけて、民主化を求める学生や市民によるデモや集会が続いた。

とりわけ2019年6月は、同月の9日、12日および16日に行われた「香港逃亡犯防止改正案反対デモ」が大規模であった。16日のデモは、主催者発表で参加者200万人ともいう。

しかし、1年後の2020年6月30日に、中国の法律「香港国家安全維持法(国安法)」が成立し、翌7月から香港で同法が施行されたことを皮切りに香港の市民デモは、香港警察および中国当局によって次第に抑圧されてゆく。

その後も香港市民による抗議活動は続けられたが、2021年8月に香港の民主化運動を支えてきた中核組織が解散して、香港の民主化要求デモはついに終焉をむかえた。

香港デモ」として人々の記憶に残った2019年のあの日から、ちょうど4周年になる今年。一連のデモに参加したことで逮捕された多くの香港の若者たちが、中国政府の政治統制実験における最新の対象になっているという。中国の目的は、香港の若者から「過激思想を抜くこと」だ。

米紙「ワシントン・ポスト」は8日、調査報道を公表した。それによると、この中国政府による非急進化(deradicalize)計画には、収容者に「再教育キャンプ」を通じて自らの思想が過激なものであると認めさせ、それを「改造」するための心理的操作や独房監禁などのプログラムが含まれる。

香港の保安局に所属する紀律管理部署であり矯正機関でもある「懲教署」によると、4月末時点で同プログラムを受けた青少年は871人に上る。このうち約7割が「香港デモ」関係で起訴されており、なかには14歳の「受刑者」もいるという。

「ワシントン・ポスト」は懲教署の元職員(刑務官)2名、および香港デモへの参加により収容されたことのある12名(うち成人2名)に取材を行い、同プログラムの実態について聞いた。

元刑務官は、この計画の最終的な目標は「二度と抗議活動をしないよう、香港の未来について受刑者の心に絶望感を植え付けることだ」と明かした。

また、元受刑者の1人は「本当に戦意を喪失させるのは、一日24時間にわたる洗脳や抑圧。そして沈黙を強要する刑務所での日常生活だった」と語っている。

米プリンストン大学の名誉教授であるペリー・リンク氏は、「この香港の戦略は、中国共産党がこれまでに(新疆などの)他の場所で行ってきたことを、そのまま参考にしている」と指摘する。新疆ウイグル自治区では、大量のウイグル人を対象とする「再教育キャンプ」が今も行われている。

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