(中国SNSよりスクリーンショット)

国内メディアが作った「中国の9大問題」ポスター 封殺に遭ったのは「本当すぎるから?」

この頃、中国メディアが作成した「中国の深刻な9つの問題」を明示したポスターが、ネット上で当局の封殺に遭っている。

中国のポータルサイトの「捜狐(SOHU)」傘下のニュースサイト「搜狐新聞」は、このほど掲載した報道のなかで、いま中国国内に実在する深刻な社会問題を記したポスター9枚を作成して載せた。

ポスターに盛り込まれた数字は、いずれも中国が正式に公表したデータに基づくもので、それ自体に誤記があるわけではない。つまり、データが不正確でなければ、全く「本当のことを言った」のであるが、それが当局にとっては何やら不都合らしいのだ。

データは、中国の国務院(内閣に相当)、国家統計局、国家発展改革委員会(経済政策の立案などを担当)、最高人民検察院(最高検)など、いずれも政府の権威ある機構が公表したものである。

9枚の画像は以下の通り。日本語の内容を、その下に記す。

 

 

「61年ぶり、初の人口マイナス成長」

「24歳以下の若者の失業率、はじめて20%突破」

「未成年犯罪容疑者の受理・起訴数が42.8%増加」

「少なくとも1.5億人が、一人で高齢の親の面倒をみる重圧にさらされている」

「約7億人の毎月の手取り所得が2614元(約5.1万円)未満」

「無職・失業者のうち、31%に鬱(うつ)のリスクあり」

「約5千万人の低齢老人(60~69歳)がまだ働いている」

「中国には約8500万の障害者がいる」

「中国では2000万人以上が希少疾患に苦しんでいる」

これらは、いずれも「正確に」作成されたと評価してよいものだが、なぜそれがネット封殺に遭っているのか。

これらのポスターは、言わば中国社会の「暗黒面」を網羅的に暴き、いま中国が直面している深刻な社会問題を浮き彫りにしてしまった。

そのため、これは「中央政府の顔に泥を塗るようなもの」と見ることもできる。多くのネットユーザーが捜狐新聞の度胸(?)には感嘆する一方、その冒険ぶりに「こんなポスターを作って大丈夫か?」とハラハラしたようだ。

15日、これらのポスターはネット上で広く拡散された。そのため「捜狐新聞は死にたいのか(搜狐新聞不要命了)」のワードが、一度は中国SNSウェイボー(微博)のホットリサーチ入りしている。

あまりの注目度の高さに、当局はその後、検閲に乗り出したようだ。それ以後、関連投稿は封殺に遭い、中国国内では表示されなくなった。しかし海外SNSでは、依然として拡散され続けている。

検閲前の投稿(左)と検閲後の投稿(右)。(SNSよりスクリーンショット)
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