ウェッブ望遠鏡が宇宙最初の恒星を発見した可能性がある

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は宇宙の最初の恒星を発見した可能性が高まっています。長年にわたってハッブル宇宙望遠鏡によるこれらの恒星の探査は全く成果を得られませんでしたが、ウェッブ望遠鏡にとって、優れた成果を上げたと言えるでしょう。

研究者は最も古い星を種族IIIの恒星(Population IIIまたはPop III )と呼んでいます。天文学者は偶に何らかの理由で一般的な慣例に反して物事に名前を付けることがあり、ポップ III が最も古い星、ポップ II が真ん中、ポップ I が最も新しく形成された星を指します。私たちの太陽は「種族Iの星(Pop I)」に属しています。

ある国際チームはウェッブ望遠鏡を使用して、Pop III 恒星の最初の証拠を見つけたと新しい論文で発表しました。この論文は6月6日にarXiv(様々な論文が保存・公開されているウェブサイト)にアップロードされましたが、まだ査読されていません。

この発見に対して、2つの重要なポイントがあります。

1つ目はウェッブ望遠鏡の能力です。光の速度は限界があるため、遠くを見れば見るほど、より早い時間の状態が見えます。ウェッブ望遠鏡は非常に遠くまで見ることができます。このチームはGN-z11という明るくて、非常に遠い銀河を観測し、宇宙が誕生してわずか4億年だった頃の鮮明なスペクトルを取得することを目指しました。比較として、現在の宇宙の年齢は約137億歳です。

もう 1 つは金属性(metallicity)と呼ばれる星の特性です。即ち、恒星が水素やヘリウムよりもどれだけ重いかを表します。(天体物理学における金属とは、水素やヘリウムより重い元素を指します)星の金属性によってどのカテゴリに分類されるかが決まります。PopIは金属の含有量が最も高く、PopIIIは金属の含有量が低いです。

科学者が探していた古代の恒星の根拠は、非常に古く、金属度が非常に低いものです。そしてGN-z11銀河では、科学者は長年探求していた特徴を見つけたと信じています。

研究者はGN-z11銀河の周辺のガスの輪を観察し、Pop III 恒星がそこで形成された可能性があると考えています。その領域で、ヘリウムが非常に高温になったときにスペクトルに現れ、非常に強い HeIIλ1640スペクトル線を発見しました。

さらに重要なのは、周囲に金属元素が存在せず、近くに金属の含有量が多い恒星がないことを示しています。金属が存在しないため、何かがヘリウムを信じられないほど熱くしており、このチームはPop III 恒星を見つけたと考えています。

新たな研究の観測結果は非常に興奮させるものですが、現時点では冷静になることが重要です。まず、HeIIλ1640スペクトル線の原因について、他の可能性も存在します。例えば、GN-z11銀河の中心に活発な銀河核があり、スペクトル線が生じている可能性があります。

次に、この観測結果を最終的に確認するにはウェッブ望遠鏡によるより多くの観測と研究が必要です。しかし、ウェッブ望遠鏡の使用時間は多くの研究者にとって非常に限られており、このチームはできるだけ早く観測結果を確認するための計画を立てています。そしてこの観測結果はまだ査読の対象となっています。

この新しい研究は検証される可能性が高く、これは天体物理学における最も重要な研究テーマで、科学者は本当に巨大な成功を収めたかもしれません。もし最終的に最古のPop III 恒星の本当の初検出と確認されれば、科学の探査の全く新しい世界が開かれることになるでしょう。

林達