コロナ・インフルのワクチン併用が脳卒中リスクに関連

新型コロナワクチンインフルエンザワクチンの同時接種によって脳卒中のリスクが高まることを示す研究が増えている。

米国食品医薬品局(FDA)の研究者らはこのほど、モデルナ社またはファイザー社の新型コロナワクチンとインフルエンザの高用量アジュバント含有ワクチンを併用した一部の高齢者に脳卒中リスクの増加が確認されたと発表した。

ほどなくして、カイザー・パーマネンテの研究者も、ファイザー/ビオンテック製の新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同じ日に接種した65歳未満の人にリスクの増加が見られたと発表した。

また今年一月、FDAと米国疾病予防管理センター(CDC)による安全性モニタリングで、ファイザー社の2価ワクチンと虚血性脳卒中(血液凝固によって引き起こされる脳卒中の一種)の安全性シグナルが検出されたことが発表された。昨年には、CDCがモデルナとファイザーのオリジナル株ワクチンと成人の虚血性脳卒中のシグナルを検出していたことが、エポックタイムズが入手したファイルによって分かっている。

当局は、ワクチンと脳卒中との関連性はまだ証明されていないとしている。一方で一部の専門家は、これらの研究が副作用のリスクを減らすために予防接種の間隔をあけることの重要性を後押しすると述べている。

CDCのワクチンに関するアドバイザーを務めるウィリアム・シャフナー博士はCNNに対し、それぞれのワクチンの接種時期をずらすのが「合理的だ」と述べている

FDAでワクチン部門のトップを務めるピーター・マークス博士は最近の会議で、有害事象のリスクを減らすために、インフルエンザ、新型コロナウイルス、RSウイルスでワクチン接種の間隔を空けると語った。

「多くの場合、相互作用の可能性を最小限に抑え、別のワクチンとの副作用の混同を最小限に抑えたいのであれば、ワクチンの接種間隔を2週間ほど空けることを勧める」とマークス氏は言った。

オーストラリアの研究者が発表した最近の別の研究によると、ファイザー社のワクチンと季節性インフルエンザの不活化ワクチンを一緒に接種した場合、どちらか一方のワクチンだけを接種した場合よりも多くの成人が有害事象を報告したという。

ミネソタ大学医学部の感染症専門家であるデイビッド・ボールウェア医師は、エポックタイムズへのメールの中で、「一方のワクチンが他方のワクチンの反応を鈍らせないようにするため」に、一般的に新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを別々の機会に接種することを勧めている。

例えばある研究では、ワクチンの同時接種によって、病気から身を守るとされる抗体のレベルが低くなることがわかっている。「ワクチンを受けるなら、ベネフィットをフルに受けたい」とボールウェア氏は言う。

不確実性

新型コロナワクチンと脳卒中に関するリスクの上昇を認めていない論文もある。なかには、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種を検討した英国の研究も含まれている。この研究で分析された新型コロナワクチンは、米国では一度も接種されたことのないものだった。

10月25日、CDCのワクチン安全担当官であるトム・シマブクロ博士は、FDA、カイザーパーマネンテ、英国からの論文に目を通しながら、「入手可能なデータからは、新型コロナのmRNA2価ワクチンを単独で接種した場合、あるいはインフルエンザワクチンと同時に接種した場合、あるいはインフルエンザワクチンを単独で接種した場合の虚血性脳卒中に対する安全性の問題について、明確かつ一貫したエビデンスは得られていない」と語った。

シマブクロ氏はまた、オリジナル株のワクチンでは虚血性脳卒中のシグナルは検出されなかったという虚偽の説明を繰り返した。これについては、CDCも訂正を拒否している。

リスクの上昇を発見した研究者らは、このシグナルを検証するためにはさらなる研究が必要だと述べている。

「新型コロナの2価ワクチン接種と虚血性脳卒中との潜在的な関連性は…個人間でさらなる調査が必要だ」とカイザーパーマネンテの研究者らはプレプリント論文で述べている。

この自己対照ケースシリーズでは、ワクチン接種者における脳卒中発症率のみが調査された。研究者らは、ワクチン接種後42日間の脳卒中発生率とそれ以降の発生率を比較した。

2価ワクチン接種後42日以内の脳卒中は373件、42日後の脳卒中は1,511件であった。

このリスク上昇は、ファイザー社またはモデルナ社のワクチンを接種し、新型コロナの既往歴があり、同時にインフルエンザワクチンを接種した65歳未満の患者で認められた。

また、同じ年齢層で、ファイザー社の新型コロナワクチンをインフルエンザワクチンと一緒に接種し、新型コロナの既往歴がない人、およびモデルナ社のワクチン接種を受け、新型コロナの既往歴があり、インフルエンザワクチンを併用していない人においても、リスクの上昇が認められた。

他にも、FDAの研究者らが、ワクチン未接種者を除いたメディケア受給者を対象に、自己対照ケースシリーズを実施した。ワクチン接種後42日以内のリスク間隔と、接種後43日から90日の対照間隔を用いた。

研究者らは、ファイザー投与群では85歳以上で非出血性脳卒中および非出血性脳卒中/一過性脳虚血発作のリスクが高いこと、モデルナ投与群では65〜74歳で非出血性脳卒中/一過性脳虚血発作のリスクが高いことを確認した。

また、65歳以上の全被接種者において、インフルエンザの高用量アジュバント含有ワクチンおよびファイザーの新型コロナワクチン接種の22~42日後に非出血性脳卒中のリスクが上昇し、1~21日後に一過性脳虚血発作のリスクが上昇した。

ボールウェア氏は、他の研究者がこの結果を再現するのを見たいと語った。同氏はこの研究には関与していない。

FDAの研究者らは、今回の研究結果は、高齢者では新型コロナワクチンのベネフィットがリスクを上回るとするFDAの立場を変えるものではなかったが、インフルエンザの高用量アジュバント含有ワクチンの安全性について「追加調査の必要性」を示したと述べた。

また、オーストラリアの研究者らは、彼らの研究がファイザー社のワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種を支持するものであると述べた。

メリーランド州に拠点を置く大紀元のシニアリポーター。主に米国と世界のニュースを担当。