中国では、景気の低迷による「史上空前の就職難」が大きな社会問題になっている。イメージ画像。南京の就職フェア。(China Photo/Getty Images)

深刻な就職難で広がった「ある噂」 重慶市の8割の工場が、新規採用停止に?=中国

このほど、中国のSNSでは「重慶市の8割の工場が新規採用停止(3月5日時点)」という噂で持ち切りだ。重慶市は、中国に4つある直轄市(北京・上海・天津・重慶)の1つである。

重慶市当局や中国メディアは「そんなことはない!」「デマ(謡言)だ」と反論している。しかし、そのような「当局の主張」に対して、多くの現地ユーザーが「そんなことはある!」と再反論している。

「新規採用停止」が噂されている企業のなかには、多くの大手メーカーや著名企業が名を連ねている。以下に、その一部を列挙する。

中国のスマートフォン大手の「OPPO(オッポ)」

中国スマホメーカーの「Vivo」                               中国の自動車メーカーの「賽力斯集団」

中国の国有自動車大手の「長安汽車」

中国の自動車大手の「北京汽車集団」

中国国有企業の「京東方科技集団(BOE)」

自動車メーカーの「上汽通用五菱汽車」

台湾の電子機器受託生産大手「仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)」

家電メーカーの「美的空調」

それに、中国の内航船大手の「民生物流」などなど。

関連話題を投稿したユーザーは「いま仕事がある人は、それを大事にしてほしい!」「簡単にやめるでないぞ!」と警鐘を鳴らしている。

ネット上でホットな話題になっているこの噂を受け、中国メディアは「噂はデマである」とする内容の報道を掲載。重慶市当局も同じく「噂はデマだ」とする声明を出している。

しかし、もはや当局の声明をそのまま信じる中国国民ではない。関連話題には、当局が否定するからこそ「この噂は本当だ」と主張するコメントが多く寄せられている。

「噂になっている会社のなかの数社に、私の知り合いがいる。本当に採用停止になっていると聞いたよ」

「いまや通勤時の車の数は明らかに減っている」

「町の店舗の半分は(テナントが入らず)空屋だ」

「私のマンションのそばにある掲示板は、2年前では採用募集公告でいっぱいだった。しかし、今は全くそのような広告がない。あるのは全て、不動産の賃貸広告だ」

「私の判断では(新規採用停止になった企業は)8割どころか、9割だ」

就職難」は、今の中国では誰もが避けられない話題になっている。つまり、決して珍しくないことなのだ。それなのに、なぜ今回の「重慶の工場の採用状況」だけが、これほど話題になり、当局まで「もみ消し」に乗り出したのか。

その理由について、中国メディアの「中国財富網」は、次のように指摘する記事を掲載した。

「重慶は他所とは違う。OPPO、Vivo、賽力斯集団。長安汽車、北京汽車集団、京東方科技集団、美的空調など、噂になっている十数社の有名企業はいずれも中国のなかでの優秀な部類に入る企業ばかりだ」

「優秀な企業ですら、採用停止になっているのだから、他の中小企業はもっと状況が悪いことになる。今この噂は払拭されているが、この話題がここまで広まり、これほど注目されたことからしても、人々の就職難に対する関心の高さを反映しているのではないか」

このほど、中国のSNSでは「重慶市の8割の工場が新規採用停止(3月5日時点)」という噂で持ち切りだ。当局はそれを「謡言(根拠のないデマ)」だとして、火消しに躍起になっている。(中国のネットより)
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