カナダ通信保安機構(CSE)は、APT31によるカナダへの攻撃を認めた(Nicolas Asfouri/AFP)

カナダが中国共産党のハッカー集団APT31の攻撃を公表

カナダ連邦情報局は最近、米国や英国を対象としたサイバースパイ活動で知られる中国(共産党)のハッカー集団APT31が、カナダに対しても攻撃を行っていることを公表した。

3月25日には、米国が「Advanced Persistent Threat 31」(APT31)と呼ばれるこの集団に対して制裁を実施した。米司法省によれば、APT31は中国の国家安全部が運営しており、過去14年間にわたって米国内外の批判者、企業、政府関係者を攻撃の対象にしており、関連する7人が米国で起訴されている。

カナダ通信保安機構(CSE)は、APT31がカナダも攻撃の対象にしていることを確認し、「通常は特定のサイバーセキュリティ事件についてコメントすることはないが、カナダに対する悪意のある活動を行っているのは同じ脅威であることを確認している」とCBC(カナダ放送協会)に対して述べた。

ドミニク・ルブラン公共安全担当大臣は3月26日、記者会見で「カナダはサイバー攻撃の脅威を非常に真剣に受け止めており、中国がそのような行為を行う国の一つであることを認識している」と発言した。また、ファイブ・アイズの情報共有グループにおけるオンライン会議でサイバー脅威について議論されたことを受け、「どの国もサイバー攻撃の脅威からは安全ではない」との認識を示した。

中国共産党所属ハッカーへの制裁措置

カナダは、中国共産党が関与するとされるハッカー集団APT31によるサイバー攻撃を公にした。この発表は、米司法省が具体的に名前を挙げて起訴した7人のハッカーに対し、FBIが最大1千万ドルの懸賞金を設定した後に行われた。起訴された7人のハッカーは、倪高彬、翁明、程鋒、彭耀文、孫小輝、熊旺、趙光宗であるとされている。

米副司法部長リサ・モナコは、「北京の国際的なハッキング作戦は、中国(中共)政府に対する批判の封じ込めを目的としている」と述べ、これらの被告が「1万通以上の悪意あるメールを送り、多数の州に渡って数千人の被害者に影響を及ぼした」と指摘した。

さらに、英国政府は2021年から2022年にかけて、英国選挙委員会が中国共産党の支援を受けた組織に侵入されたこと、およびAPT31が2021年の選挙戦で英国の議員をスパイ行為の標的にしたことを報じた。

これに対し、英国はAPT31やその他の関連組織に対して制裁を科すと発表した。また、オーストラリアとニュージーランドも、中国共産党支援の団体によるサイバー攻撃への深刻な懸念を表明している。ニュージーランドでは、国家サイバーセキュリティセンターが2021年の議会関連機関への侵入が別の中国共産党のハッカーグループAPT40によるものであると断定した。

ニュージーランド外務大臣ウィンストン・ピーターズは、「外国によるこの種の干渉は断じて許されず、中国に対して今後このような行為を絶対に行わないよう強く促す」と述べている。

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