キャベツの隠れた力:古代の知恵が語る「万能野菜」

現代社会は、ストレスや様々な疾患に直面しており、多くの人々が健康への不安を抱えている状況にあります。しかし、私たちの身近な食材には、そんな不安を和らげる力を持つ意外なヒーローが存在します。それが「キャベツ」です。

 

明代の名医・李時珍がキャベツを称賛

中国の伝統医学において、明代の名医・李時珍はキャベツの効能を高く評価しています。李時珍が著した『本草綱目』によると、キャベツは肝臓や腎臓を強くし、全身の経絡を通じて内臓の機能を調整する効果があるとされています。長期にわたってキャベツを食べ続けることで、骨髄を充実させ、関節を健康にし、視聴覚を改善することができると言われています。さらに、筋肉や骨を強くし、睡眠の質を改善し、心臓の機能を高めることもできます。

これは、キャベツがただの野菜ではなく、実は全身の健康をサポートする強力な食材であることを意味しています。キャベツは、癌や高血圧糖尿病から骨粗しょう症、記憶障害、不眠症、脳血栓、心臓病など、幅広い健康問題に対して効果的であるとされています。さらに、消化不良、便秘、肥満、さらには咽頭炎や関節炎などの炎症性疾患にも効果があると考えられています。

漢方では、体内のエネルギーの流れ、いわゆる「気血」のバランスが健康の鍵を握ると捉えています。気血がスムーズに流れれば、各臓器は正常に機能し、体の不調や病気は自然と解消されるのです。特に五臓六腑を良好に保つことが肝要であり、良好になれば全体のエネルギーの流れが改善されます。

キャベツは肝臓や腎臓を強くし、全身の経絡を通じて内臓の機能を調整する(Graphs / PIXTA)

李時珍は、キャベツを頻繁に食べることの利点を強調しています。キャベツは、肝臓と腎臓に良い影響を与え、これにより体全体の気血の流れが促進され、エネルギーが滞りなく流れるようになります。気血がうまく流れると、体の骨髄が充実し、関節の動きがスムーズになり、視力や聴力の向上も期待できます。

夜間、人体の陽気は自然と腎臓に入り、隠れるようになります。太陽が沈むように、臓器も夜間モードに入り、安眠できる状態になるのです。肝臓は体の筋肉を、腎臓は骨を支配しており、これらの臓器が健康であれば筋肉と骨も強く健康的になるでしょう。

キャベツはただの野菜ではありません。現代の研究によると、この食材はカルシウムの豊富さは牛乳を凌ぎ、骨を強くする効果があることが明らかになっています。さらに、カリウムを多く含むため、血圧の低下にも寄与し、ビタミンCの含有量はオレンジを上回り、免疫力を高め、現代病の予防にも役立ちます。

 

キャベツの色は白、五行の金に属す

漢方では、キャベツの色が白いことから、五行の「金」に対応し、金に対応している肺に作用すると考えられています。肺を潤す効果があり、熱を取り除き、炎症を抑えることができるため、喉の痛みや鼻炎、風邪、肺炎などの呼吸器系の症状を和らげるのに効果的です。

さらに、キャベツは肝臓と腎臓の機能をサポートします。肝臓が造血し、その結果として目の健康が保たれ、目の乾燥や炎症、赤みや腫れが減少します。これは、肝の気血が調和することで実現するでしょう。

キャベツを日々の食事に取り入れることで、心肺が健康に保たれ、心身の清浄と体内の熱の調節に役立ちます。サラダにして食べるか、ジュースにして毎日一杯飲むのがおすすめです。これにより、体内の血圧や血糖が自然と調整され、気血のバランスが整い、栄養が確保され、脂肪の自然な排出が促進されます。これは、スリムな体型を維持し、美肌を保つための理想的な方法です。

心肺が健康に保たれ、心身の清浄と体内の熱の調節に役立つ(mao / PIXTA)

 

食用上の注意点:キャベツの上手な食べ方

キャベツは、私たちの食卓に欠かせない野菜の一つですが、薬とまでは言えません。キャベツは日々の健康維持に役立ち、病気の予防や自然治療法としても活用できますが、重い病気に対しては専門医の治療が必要です。食事療法は補助的なものと考え、医師の指示に従うことが大切です。

特に、冷え性の方やお腹が弱い方や、生ものや冷たい食べ物を食べるとお腹が痛くなりやすい方や、下痢をしやすい方は、キャベツを生で食べるのを避けましょう。このような体質の方には、生姜やネギ、ニンニク、胡椒、花椒、唐辛子などの香辛料を加えて炒める調理法がおすすめです。これらの香辛料は体を温め、寒さを取り除き、胃に負担をかけずに済ませることができます。

ここで、脾と胃に優しく、かつ簡単に作れるキャベツを使ったレシピを2つ紹介します。2つのレシピは、日々の健康を支え、バランスの取れた食生活を送れるようになるでしょう。

 

キャベツと生姜の炒め物

キャベツと生姜の炒め物(大紀元)

材料

・キャベツ:半分(ざく切り)

・生姜:適量(細切り)

・ニンニク:2つ、スライスする

・オリーブオイル:適量

・塩:適量

・砂糖:小さじ1(お好みでチキンブイヨンや味の素に代用可能)

作り方

1. 鍋を中火にかけ、適量のオリーブオイルを熱します。

2. オイルが熱くなったら、スライスした生姜とニンニクを加え、香りが出るまで炒めます。

3. キャベツを鍋に入れ、柔らかくなるまでしっかりと炒めます。

4. 塩を適量振り、全体を均一に混ぜ合わせます。

5. 最後に小さじ一杯の砂糖を加え、全体がよく混ざるように炒め合わせたら完成です。

キャベツと生姜の炒め物は、シンプルな料理でありながらも生姜とニンニクの香りが食欲をそそります。お好みで砂糖の代わりにチキンブイヨンや『味の素』を加えて、味に変化をつけるのもおすすめです。

このように、シンプルでありながらも食材を効果的に組み合わせることで、体調を整え、元気を取り戻すことができます。美味しくて、体にも良いこの料理は、日々の食卓に加えたい一品です。

効能

この料理に使用している生姜と砂糖の組み合わせは食欲を刺激し、血液の循環を促進し、消化を助け、胃や腸を温める効果があります。寒い季節や体が冷えがちな方にとって理想的な食材です。

さらに、にんにくもこの料理には欠かせない要素で、抗菌・抗炎症作用を持ち、高血圧や高血糖の改善に役立ちます。

オリーブオイルにも特筆すべき利点があります。オリーブオイルは、体内の「冷え」を取り除き、肝臓を保護する効果があります。さらに抗菌・抗炎症作用があり、インフルエンザや肺炎の予防にも有効です。喉の痛みや目の乾燥、イライラした感情を和らげる効果も期待できるため、日々の食生活に取り入れることで、健康を広範囲にサポートすることができるでしょう。

 

四川料理:回鍋肉(ホイコーロー)

「回鍋肉(ホイコーロー)」は、四川省の伝統的な料理で、体を温める効果があるため、冷え性や消化器官が弱い人にもおすすめです。以下はホイコーローのシンプルなレシピですので、ぜひお試しください。

四川料理:回鍋肉(ホイコーロー)(Koarakko / PIXTA)

材料

・豚バラ肉:250g(薄切りまたは細切れ)

・キャベツ:半分(ざく切り)

・長ネギ:適量(小口切り)

・生姜:適量(細切り)

・ニンニク:適量(スライス)

・唐辛子:適量(細切り、辛さはお好みで調整)

・豆板醤、料理酒、しょうゆ、塩、砂糖、サラダ油:各適量

作り方

1. 豚肉に少量の塩、料理酒、しょうゆをまぶして下味をつけます。

2. 鍋にサラダ油を熱し、下味をつけた豚肉を入れて色が変わるまで炒め、一旦取り出します。

3. 同じ鍋に油をちょい足しして、生姜、ニンニク、唐辛子を炒め、香りが立ったら豆板醤を加えて赤い油を引き出します。

4. キャベツを加えて炒め、3の鍋に豚肉を戻し入れ、よく混ぜ合わせます。

5. 砂糖で味を調え、お好みで塩を加え、最後に青ネギまたは大葱を加えてさっと炒め合わせたら完成です。

ホイコーローは香りと味わいで、食欲をそそり、体を内側から温めてくれるでしょう。

ヒント:唐辛子と豆板醤でお好みの辛さに調整し、さらにカリカリとした食感を楽しむために、豚肉を炒める前に軽く片栗粉をまぶすのがコツです。

効能

ホイコーローは生姜やネギ、ニンニク、花椒などの香辛料をふんだんに使用しています。これらのスパイスは、体を内側から温めて寒さを追い払う効果があります。また、これらの成分は日常的に使われる天然の健康食材としても重宝されており、体のエネルギーを補給し、腎臓や脾臓の機能をサポートします。特に冷え性の方にはおすすめの料理です。

豚肉は腎機能を強化する食材とされ、キャベツと組み合わせることで、肝臓と脾臓の健康もサポートします。この美味しくも健康的な組み合わせは、食欲をそそり、家族みんなで楽しめる一品です。

白玉煕
文化面担当の編集者。中国の古典的な医療や漢方に深い見識があり、『黄帝内経』や『傷寒論』、『神農本草経』などの古文書を研究している。人体は小さな宇宙であるという中国古来の理論に基づき、漢方の奥深さをわかりやすく伝えている。