北京の路地では、赤い腕章を身につけた社会安定要員が行き交う人々を監視している。 (Photo credit should read MARK RALSTON/AFP/Getty Images)

中国共産党がコミュニティワーカー増員へ 海外在住の市民の個人的情報まで監視を強化 

中国共産党はコミュニティワーカーの体制を強化し、地域での党組織の運営、管理、サービス業務に特化させた。これにより市民の生活が監視され、その監視の目は特に海外との関係を持つ人々に向けられている。

評論家は、この状況が中国共産党の危機感の増大と崩壊への恐怖を反映しており、逆に崩壊のリスクを高めていると警鐘を鳴らしている。

中国共産党、「コミュニティワーカー」を増員

最近、中国共産党は「コミュニティワーカーの体制を強化する意見」を発表し、彼らを地域での党組織の運営、管理、サービス業務に特化した専門家として位置付けた。

約5年前から、中国共産党は地方に「維穏信息員(安定維持情報員)」を配備し、2020年の新型コロナウイルスの流行を機に「網格員」という地域警備員が広く知られるようになった。彼らはPCR検査の実施やワクチン接種の普及、感染者の隔離施設への移送などを行い、政権の安定を維持していた。

公式文書によれば、これまでコミュニティで活動していたグリッド員やその他の専門スタッフは、一定の条件を満たすことで正式なコミュニティ専門職員として採用される可能性がある。

米メディア「ボイス・オブ・アメリカ」によると、「維穏信息員」から「網格員」、さらに狭い範囲をみる「微網格員」へと進化し、多くの都市でコミュニティワーカーの採用が進んでいること、そして中国共産党が地方レベルでの情報収集と監視を強化していると報じている。

山東省青島市に住む韓氏は地域職員として働いており、「ボイス・オブ・アメリカ」に対し、地域の職員は「網格員」よりも上位の職であると述べた。彼らは清掃活動や政府の啓発キャンペーンの支援、詐欺対策アプリのインストール促進、さらには住民が海外からの電話を受けないよう警戒している。

海外に長期滞在している人が故郷を訪れる際、地域職員は特に注意を払う。韓氏の話によると、彼の地域では今年の中国新年期間に外国籍を取得した中国人が多く帰省し、彼はそれぞれの家庭を訪問して登録手続きを行うよう促した。中国共産党の出入国管理法では、外国人が中国に入国し滞在する際、24時間以内に居住地を公安局に登録することが義務付けられている。

海外関係者に対する監視強化の事例

江蘇省の李氏は「ボイス・オブ・アメリカ」に、自宅に来る地域職員は若く、質問がとても細かいと述べた。訪問者たちは家の住人の数や職業、非常住者がどこにいて何をしているかなどを詳しく尋ね、記録を取っていた。

李氏によれば、彼女の息子は10年以上前に大学を卒業し、アメリカに留学してそのままアメリカに定住している。最初の訪問では詳細な質問はなかったが、その後再度訪問され、息子の大学名、就職先、担当職務、家族構成など具体的な情報を求められた。息子の妻がアメリカに移住した台湾出身であることを伝えると、訪問者たちは顔を見合わせ、さらに多くの情報を書き留めた。

李氏は、息子がアメリカの主要なテクノロジー企業に勤め、妻が台湾出身であることが、地元のコミュニティワーカーの特別な関心を引いたと考えている。

過去には、海外で活動する民主主義活動家の家族が中国共産党職員に訪問され、妨害を受けたと報告している。例えば、2023年11月17日にサンフランシスコで開催されたAPEC会議で抗議活動を行った中国民主党の陳曉磊氏は、その後中国の警察によって両親が脅迫されたと明かした。彼は、同様の体験をした民主党員が20人以上いると述べている。

広東省に住む王氏は最近、大紀元の記者に、地域職員が頻繁に住民の家を訪れて状況を探っていると話した。「あなたは微信で誰と連絡を取っているのか?」と質問されるそうだ。

微信は中国国内で広く使われている通信アプリのため、地域職員は訪問のたびに微信の使用状況を尋ねる。これは海外の人々との連絡を探るためで、監視が厳しくなり緊張感が増しているという。

大紀元の記者は、法輪功を修煉する人々の中国国内にいる親族が中国共産党の職員から尋問されていることを確認した。ある情報提供者は、これ以上国内に電話をかけないよう警告され、「電話をする度に尋問されている」と言われたという。

王氏によると、知り合いの法輪功修煉者は善良な人々で、無実のまま逮捕されることが多いという。

「最近は理由もなく自宅で逮捕される人が増えている。海外との連絡が疑われると、彼らは逮捕されるのだ。現在、法輪功修煉者は家ごとに徹底的に監視されている」

昨年の終わりにロイター通信が伝えた報告書によると、中国共産党機関は個人の海外との繋がりについて調査を行っていることが判明した。調査対象者は、昨年末から共産青年団、政治協商会議、地方政府、およびそれぞれの職場からの調査票に回答している。

情報源によれば、これらの調査には外国籍や海外の永住権を持つ家族に関する情報、また外国からの援助や経験に関する詳細が含まれる。さらに、今回が初めての情報提供の要請であるともいえる。

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