朝の忙しい時間にスムージーは、手軽で栄養満点で健康への近道のように思えます。果物や野菜、その他の成分がたっぷりと入った、活力を与えるドリンクで一日をスタートできます。
しかし、その見た目の泡立ちの下には、見落とされがちな問題点が隠されているかもしれません。スムージーが健康的だというイメージは、必ずしも正しいわけではありません。便利で作りやすいのですが、本当に私たちが思っているほどの健康効果があるのでしょうか?
朝のスムージーの隠れた5つの欠点
「果物や野菜をしっかり食べなさい」という教えは長く受け継がれていますが、疾病予防管理センターの報告によると、多くのアメリカ人は果物と野菜の摂取量が不足しています。
連邦政府のガイドラインで推奨されている、果物を1日1.5~2カップ(1カップ240ミリリットルの容量分)、野菜を2~3カップ摂取できる成人はわずか12%で、推し進められている量の野菜を食べているのは10人に1人しかいません。
ブレンダーに材料をたっぷり入れて、一気に飲むことは、日々の果物と野菜の目標量を達成する便利な方法のように思えます。しかし、朝、ブレンドドリンクを選ぶことが見た目ほど良い選択ではないという、以下の5つの理由をご紹介します。
1. 糖分の急上昇
スムージーに含まれる糖分の多さに気づかない人が多くいます。果物が主成分であることが、自然な糖分と添加された糖分の過剰摂取という問題を隠しています。これは、一日が始まる前にすでに健康を損なう可能性があります。
「スムージーは健康に良いと思われがちですが、その糖分の量はソーダと同じかそれ以上であることを見過ごしがちです」と、公衆衛生栄養学の修士を持つ登録栄養士トリスタ・ベストさんは大紀元に語っています。
子供向けに販売されている飲料を調査したところ、スムージーには子供の1日の推奨糖分摂取量が含まれている製品があり、その糖分の量は驚くほど高いことが解明しました。
市販のスムージーには、1回分に最大45グラムの糖分が含まれており、その多くは加糖添加物です。これは標準的な缶ジュースの39グラムを超え、バニラアイスクリーム半カップ分の糖分(14グラム)の3倍にもなります。
このような高い糖分は、血糖値の急激な上昇と下降を起こし、イライラや不安、手の震えなどを引き起こします。さらに、体重増加、肥満、インスリン抵抗性や血糖調節の障害による2型糖尿病のリスクが高まります。
手作りのスムージーも、はちみつやメープルシロップなどの自然な甘味料を使うことで、糖分の摂取量が多くなることがあります。ベストさんは、これらの甘味料にはグルコースやフルクトースといった単純糖が多く含まれており、血糖値の変動を引き起こすと指摘しています。さらに、桃(13グラム)やバナナ(14グラム)などのフルーツをベースにすると、合計で27グラム以上の糖分が加わることになります。
2. 食物繊維の微妙な境界
ジュースを作る時、果物から食物繊維が取り除かれることはよく知られていますが、ブレンドが食物繊維に与える影響ははっきりしていません。
ベストさんは、「スムージーをブレンドしても、原材料の食物繊維の量は大きく変わらない」と述べています。ブレンドは皮や種、果肉に含まれる貴重な食物繊維を保持し、それを細かくすることで消化しやすくなります。
ブレンドが食物繊維の効果にどのように影響するかについての科学的研究はまだ少ないです。研究によると、ブラックベリーの種をブレンドすることで、普段のそしゃくや消化では得られない食物繊維やポリフェノール、脂質、タンパク質が得られるかもしれません。
栄養・食品科学ジャーナルによると、スムージーが製造と消化の過程で細胞壁と食物繊維を保ち、血糖値の急激な上昇を抑え、満腹感を得るとしています。
しかし、小児内分泌学者のラスティグ博士は、スムージーについては慎重な姿勢を示しています。彼はビデオで、果物の可溶性と不溶性の食物繊維が合わさって腸内でゲル状のバリアを形成し、消化を助け、栄養素を腸に届けることが腸内フローラと肝臓の健康に重要だと説明しています。
ラスティグ博士は、ブレンドによってこの食物繊維のバランスが崩れ、健康効果が減少する可能性を懸念しています。
「果物はそのまま食べるのが良いと思います」と彼は言っています。
3. 満腹感の要素
スムージーのような手軽な朝食は魅力的ですが、ベストさんは「スムージーだけの朝食は、無意識に食べ過ぎにつながり、固形食に比べて満足感を得にくい」と警告しています。
そしゃくは消化と満腹感を得るために重要です。「そしゃくは満腹感を引き起こすメカニズムを活性化し、過食を防ぐのに役立ちます」とベストさんは言います。
アメリカ臨床栄養学会誌の研究によると、40回そしゃくする人は15回の人に比べて摂取カロリーが約12%少なく、そしゃくが満腹感とホルモンの調節に果たす役割、特に満腹感を促すホルモンGLP-1の放出に関連しています。
「スムージーを飲むとそしゃくが省略され、脳への満腹信号が減少するかもしれません」とベストさんは述べています。これは食事の速度を上げ、食べる楽しみを減らし、日中の間食や予定外の食事を増やす可能性があります。
さらに、満腹感は栄養摂取だけでなく、食べ物の形状にも影響されます。2018年の研究によると、栄養価が同じであっても、スムージーよりフルーツサラダを食べた方が満足感が高まると報告されています。
スムージーを朝食にすると、早くお腹が空いてしまい、間食を多くしてしまうことでカロリー摂取量が増え、スムージーの健康効果が損なわれる可能性があります。
4. シュウ酸の過剰摂取
果物以外にも、スムージーによく使われる野菜には健康リスクが伴うことがあります。機能医学の専門家クリス・クレッサー氏は、彼のウェブサイトで緑のスムージーの高いシュウ酸含有量について警鐘を鳴らしています。シュウ酸は自然に存在する植物化合物で、過剰に摂取すると腎結石や炎症を起こすリスクがあります。
ほうれん草、チャード(ふだんそう)、ビーツなど、栄養価が高いとされる野菜はシュウ酸が多いことでも知られています。これらの化合物が体内に蓄積されると、慢性的な痛みや腎結石、神経障害や線維筋痛症候群の症状を引き起こします。
緑のスムージーには、ほうれん草が1カップ以上使われており、知らず知らずのうちにシュウ酸の安全摂取量を超えてしまうことがあります。研究によると、栄養豊富な緑のスムージーでも、シュウ酸の濃度が高く、腎結石のリスクを高めます。
このリスクを減らすために、緑のスムージーの愛好家は、マスタードグリーン(からしな)、クレソン、レタスなどシュウ酸が少ない野菜を使い分けることを勧めています。これにより、シュウ酸の過剰摂取を防ぎつつ、スムージーの健康効果を保つことができます。
5. 微生物の過剰摂取
スムージーは、濃縮された形で成分を摂取するため、見過ごされがちな危険をはらんでいます。普段、果物や野菜を適量食べることで、胃酸や免疫システムなどの自然な防御機能が細菌や寄生虫、農薬などを処理します。しかし、スムージーで大量に摂取すると、このバランスが崩れます。
有機栽培の生の果物や野菜であっても、細菌や寄生虫がいないわけではありません。スムージーに含まれる生の食材の濃縮は、多くの微生物を体内に取り込むことになり、防御機能を超えることがあります。バナナ1本を食べるのと、スムージーで3本分(同量分)のバナナを摂るのとでは、後者の方が病原体へのリスクが大きくなります。
人気のスムージーの微生物学的安全性について、2021年の調査研究では、スロバキアのフレッシュバーから抗生物質に耐性のある大腸菌などの細菌が見つかりました。特に野菜の割合が高い緑のスムージーは、その影響を受けやすいことが指摘されています。
この研究は、銀イオンと過酸化水素を含む溶液で食材を洗浄することにより、細菌の数を大きく減らす有効な予防策を提案しています。食材をしっかり洗い、可能なら皮をむき、一部の野菜は軽く加熱する、食生活で健康を損なうことのないようにしましょう。
スムージーを飲むことが体内の微生物にどのような影響を与えるかについての詳細な研究はまだ少ないですが、指摘されているリスクは、これら栄養価の高い飲み物を適度に、そして慎重に準備することの大切さを強調しています。
朝のスムージーを健康増進に役立てる
スムージーは、一日の始まりに必要な栄養素を補給する強力な手段です。しかし、甘いスナックと健康的な朝食の間の微妙な境界を見極めるためには、注意深い調整が求められます。
家庭医であり、キャンベル・ライフスタイル・プログラムの創始者であるトーマス・キャンベル博士は、スムージーは控えめに使うべきだと主張しています。
彼は次のように述べています。「自然に食べ物はよくかんで食べ、スムージーはおやつのように特別な時に楽しむようにしましょう」
それでも、スムージーを日常的に楽しむ人たちのために、この飲み物をバランスの取れた栄養満点の食事に変えるためのいくつかの改良点があります。
より健康的なスムージーのための主な改良点:
タンパク質を重視する
筋肉の修復や成長に必要なタンパク質は満腹感をもたらすのにも役立ちます。プロテインパウダー、ギリシャヨーグルト、絹豆腐を加えることで、タンパク質を増やし、スムージーをしっかりした食事の代わりにできます。
健康的な脂肪を取り入れる
アボカド、チアシード、ナッツバターを加えることで、スムージーの食感が良くなり、心臓の健康を促進し、栄養の吸収を助けます。これらの追加により、スムージーで満腹感が長く持続し、間食したいという欲求が抑えられます。
添加糖を避ける
ハチミツやメープルシロップで甘くするのは誘惑的ですが、果物の自然な甘みで十分です。糖分の急上昇を避けつつ、風味を増したい場合は、シナモンやバニラエキスなどのスパイスが良い代替品になります。
低糖の果物に注目
ブドウ、チェリー、バナナは糖分が多いですが、ベリーや柑橘類は比較的糖分が少ないです。スムージーの材料を選ぶ際には、糖分のバランスを考えましょう。
自宅でスムージーを作る
スムージーの内容を自分でコントロールすることが重要です。市販のスムージーには砂糖が多く含まれていることがあります。自家製スムージーなら、不要な添加物なしで栄養を調整できます。
緑の野菜を賢く取り入れる
緑のスムージーは栄養を摂取するのに優れていますが、様々な緑の野菜を取り入れ、また、スムージーを飲まない日を設けて他の栄養価の高い食物を楽しむことも、バランスの良い食生活には欠かせません。
これらに従うことで、朝のスムージーは単なる手軽な選択肢から、朝の時間を支える健康的でバランスの取れた食事の基盤へと変わります。
(翻訳編集 青谷荘子)
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