ブロッコリーとカリフラワー 抗がん作用を高める調理法

カリフラワーとブロッコリーは「スーパーフード」と呼ばれています。ダイエット食や筋トレ食事のメニューによく登場するほか、癌を予防する食材としても親しまれています。

ブロッコリーとカリフラワーの栄養成分は異なりますが、どちらにもフォラファン、葉酸、ポリフェノールなど抗酸化成分、ビタミンC、A、K、食物繊維など栄養素を多く含んでおり、ダイエット、肝臓保護、抗がん、抗酸化、血糖値低減、そして目の健康に役立ちます。

ブロッコリーはより多くのβカロチン、ビタミンA、タンパク質、ミネラルなどを含んでいるため、健康促進の観点から、注目を集めています。ダイエットの面でも、マッシュポテトやご飯の代用品として、カリフラワーも本領発揮しています。

では、ブロッコリーとカリフラワーの選び方、鮮度を保つ保存法、栄養成分を損なわない調理法はどんなものがあるのでしょうか、台湾「可苡栄養相談センター」の栄養士である蔡宜方さんが、お答えします、そして簡単かつ栄養満点なレシピを3つご紹介します。
 

カリフラワーとブロッコリーの効果

効果1  抗がん作用

カリフラワーとブロッコリーに豊富に含まれているスルフォラファン(Sulforaphane)は抗がん作用が認められています。2023年に行ったブロッコリーに関する研究では、「スルフォラファン」が乳がん、前立腺がん、肺がん、大腸がんなどさまざまな癌細胞の成長を抑制でき、細胞のアポトーシス(自主的な死)を誘導する機能があることが示されています。

効果2  肝機能の改善及び強化

同年の別研究では、ブロッコリーとカリフラワーに含まれるスルフォラファンが、肝臓の脂肪変性を改善、脂肪肝の発生を予防、酸化損傷や肝損傷を軽減できることが明らかにされています。また、スルフォラファンは肝臓がん細胞の増殖を抑制することができます。

効果3  貧血改善

ブロッコリーとカリフラワーには葉酸が豊富に含んでおり、赤血球形成を促進、「巨赤芽球性貧血」のコントロールと治療に役立ちます。特にカリフラワーのほうは葉酸の含有量が多いため、葉酸不足の際にはカリフラワーを積極的に摂りましょう。

ブロッコリーとカリフラワーに葉酸が豊富に含んでおり、赤血球形成を促進し、貧血の改善に役立つ(Shutterstock)

 

効果4 血管の保護と心臓疾患や脳卒中のリスクを低減

スルフォラファンは高血圧を抑制し、心臓機能を保つ効果があります。ブロッコリーとカリフラワーに豊富に含まれる抗酸化物質は、炎症を抑え、コレステロールを低下させ、心血管機能を改善する役割を果たします。

効果5  糖尿病コントロール

研究では、ブロッコリーとカリフラワーに含まれるスルフォラファンは糖尿病の改善にも役立ち、糖尿病2型におけるモデル動物の肝臓疾患の特性を逆転させる効果もあるとわかりました。

効果6 目の健康を守る

研究によれば、ブロッコリーとカリフラワーに豊富に含まれるビタミンAやその他の抗酸化物質は、加齢に伴う黄斑変性症や白内障の予防に役立ちます。スルフォラファンもまた、網膜を守るし、加齢に伴う黄斑変性症や緑内障など目の疾患のリスクを低減する効果があります。

ブロッコリーとカリフラワーに豊富に含まれるビタミンAやその他の抗酸化物質は、加齢に伴う黄斑変性症や白内障の予防に役立つ(Shutterstock)

 

選び方、洗い方

新鮮で美味しいブロッコリーとカリフラワーの選び方をご紹介します。

選ぶ時に見た目の良さが大事です。蔡宜方さんは、ブロッコリーの場合、濃い緑色で、小花のないものを選ぶように、カリフラワーの場合、変色や斑点があるもの萎れた葉っぱがあるもの、そして、茎が乾燥したものを避け小花がいっぱい咲いたものを選ぶようにアドバイスしました。

洗うときは、まず5分間水に浸します。その後、流水で、振りながら表面をこするように洗います。次に必要な大きさに切り、再度洗います。最後に水を切れば、調理することができます。洗うときにお酢や重曹を加える必要はありません。野菜の栄養素を破壊する恐れがあるからです。
 

保存方法

常温保存:水で洗わず、常温で2~3日保存できます。

冷蔵保存:水に触れさせず、通気孔のあるビニール袋に入れて、適当な湿度があれば最長で1週間保存できます。

冷凍保存:洗って、切り分け、蒸しても茹でてもいい、1~3分間加熱します。その後、氷水で冷やし、水気を切ってから袋や容器に入れて冷凍します。最長で1年間保存できます。
 

カリフラワーにひと手間加えると、抗がん効果が強化される

カラシナの種(粒マスタード)には「ミロシナーゼ」が含まれており、グルコラファニン(glucoraphanin)をスルフォラファンへの変換を促します。「ミロシナーゼ」は消化酵素も含んでおり、消化促進にも役に立ちます。

大根、ルッコラ、ワサビにもミロシナーゼが含まれています。カリフラワーを上記の食材と一緒に調理すると、栄養価をさらに高めます。

ワサビに含まれる「ミロシナーゼ」は消化酵素を含み、消化促進にも役に立つ(Shutterstock)

 

栄養価の高いレシピ3つ

研究によると、ブロッコリーは生で食べても、加熱して食べても、血液や尿に検出されるスルフォラファンの数値は変わらないとわかりました。蔡宜方さんは栄養を摂取する観点からすると、ブロッコリーを生で食べる必要はないと指摘しました。

蔡宜方さんは生のブロッコリーを小さな塊に切り、室温で30~90分放置すれば、含まれているミロシナーゼとグルコラファニンなど栄養素は結合し、スルフォラファンなどの形成を持ちます。その後、短時間の調理法で加熱して食べることによって、栄養価を最大限に吸収できるとアドバイスしました。

アメリカの研究チームは、軽く炒める、蒸す、電子レンジ調理、茹でる、煮る、焼くという6つの調理方法を用いて、ブロッコリーとカリフラワー中のスルフォラファン形成量を測定しました。その結果、短時間加熱した調理法(炒める、蒸す、電子レンジ調理)では形成量が約4倍増加し、一方、長時間に加熱した調理法(茹でる、煮る、小さく切って焼く)では約58%減少することが分かりました。

蔡宜方さんは、短時間の調理によって細胞壁を破壊し、ミロシナーゼが放出され、ファイトケミカルの活性化が高まる。長時間の調理ではミロシナーゼなどの活性を破壊してしまうと説明しました。

彼女は3つの栄養価の高いレシピを推奨しています
 

1、ブロッコリー和え、マスタードソース添え

材料:ブロッコリー200g、マスタードソース大さじ1、塩小さじ1/4、水50cc

作り方:ブロッコリーを小さな塊に切り、鍋に入れます。少量の水を加え、鍋に蓋をして3~5分間蒸し煮にし、適度な柔らかさになるまで加熱します。少量の塩を振りかけて混ぜ、火を止めて水気を切り、取り出します。マスタードソースと合わせて食べます。
 

2、ブロッコリーとエビのニンニク炒め

ブロッコリーとエビのニンニク炒め(Shutterstock)

材料:ブロッコリー100g、スナップエンドウ100g、エビ150g、ニンニク2片、塩小さじ1/4、油10cc、水50cc

作り方:鍋に油を入れてニンニクのみじん切りを炒め、香りが出たらエビを加えてピンク色になるまで炒めます。ブロッコリーとスナップエンドウをいれ、少量の水と塩を加えて、鍋に蓋をして3~5分間蒸し煮にし、適度な柔らかさになるまで加熱します。最後に全体をよく混ぜ合わせれば完成です。味が薄いと感じる場合は、コショウを少し加えて風味を増してください。

このレシピは、フィットネスやダイエットをしている方におすすめです。高品質なタンパク質を摂取できます。
 

3、ブロッコリーとカリフラワーの炒め物

材料:カリフラワー100g、ブロッコリー100g、ニンジン20g、ニンニク2片、塩小さじ1/4、油10cc、水50cc

作り方:鍋に油を入れ、切ったカリフラワー、ブロッコリー、ニンジンを鍋に入れます。少量の水と塩を加えて、鍋に蓋をして3~5分間蒸し煮にし、適度な柔らかさになるまで加熱します。火を止める前にスライスしたニンニクを加えて軽く炒めます。風味を増すために、コショウを少し加えてもよいでしょう。

蔡宜方さんは、次の症状に当てはまる人はブロッコリーとカリフラワーを食べ過ぎないように注意しました。

1.甲状腺機能低下症の人は、ブロッコリーやカリフラワーの摂取量に注意が必要です。アブラナ科の野菜がゴイトロゲン(Goitrogen)を含んでおり、過剰に摂取するとヨウ素の吸収に影響を与える恐れがあります。

2.食事にカリウムを制限する必要がある人、例えば腎臓疾患や心臓疾患の患者は、カリフラワーやブロッコリーを過剰に食べることは避けるべきです。

 

(翻訳編集:正道 勇)

高潤平