ロシア国防省は7日、ウクライナと国境を接する西部クルスク州で、越境攻撃を実施しているウクライナ軍との激しい戦闘が続いていると明らかにした。 提供写真。ロシアのクルスク州で6日撮影(2024年 ロイター/Acting Governor of Kursk Region Alexei Smirnov via Telegram/Handout via REUTERS)

ロシア西部クルスク州にウクライナ侵入、激戦続く 非常事態宣言

[モスクワ 7日 ロイター] – ロシアは7日、ウクライナと国境を接する西部クルスク州にウクライナが侵入し、ロシア軍との間で激しい戦闘が続いていると明らかにした。

クルスク州には主要な天然ガス輸送拠点のほか、原子力発電所がある。ウクライナのガス輸送事業者によると、ロシア産天然ガスの欧州向けの輸送は現時点で異常はない。

今回のウクライナによるロシア領侵入は、2022年2月の全面侵攻開始以降で、最も規模が大きいものの一つ。クルスク州のスミルノフ知事代行は、国境地帯に非常事態を宣言した。ロシア保健省によると、子供6人を含む民間人31人が負傷。軍人の死傷者に関する情報は得られていない。

ロシア国家警備隊は、クルスク原子力発電所の警備を強化した。一部ブロガーは、ウクライナがクルスク原発への進攻を計画している可能性があるとの見方を示している。

ロシア軍のゲラシモフ参謀総長はプーチン大統領に対し、ロシア軍が1000人の兵士による攻撃を阻止したと報告した。兵士の数はロシア国防省の7日の発表の3倍以上となる。

ウクライナは6日にクルスク州に対する越境攻撃を開始。ロシア国防省によると、戦闘は7日にかけても続き、ウクライナ側の勢力はクルスク州スジャの北西に進撃した。スジャはモスクワの南西530キロメートルの地点にあり、ウクライナ経由で欧州に輸出されるロシア産天然ガスの積み替え地点。スジャの北東60キロの地点にはクルスク原子力発電所がある。

ロシアの軍事ブロガーによると、ウクライナは国境から約10─15キロメートル内側の地帯まで侵入。激しい戦闘が続いているという。 

ロシアのプーチン大統領は7日、「大規模な挑発行動があった」とし、ウクライナはクルスク州の民間施設を「無差別」に攻撃していると非難した。

ウクライナはこの件についてコメントしていない。ウクライナのゼレンスキー大統領も恒例のビデオ演説でこの攻撃については触れなかった。

米国務省のマシュー・ミラー報道官は、米政府はクルスク州での状況について、ウクライナ当局と連絡を取っていると言及。ロシア国境付近に限定して容認している米国供与の兵器使用に関する規制は引き続き有効だが、ウクライナの行動はこの規制に違反していないと述べた。

関連記事
「包括的戦略パートナーシップ条約」締結など露朝関係が強化される中、中朝関係には隙間風が吹いている。元来、露中朝関係の内実はどうなのだろうか。金正日元総書記が亡くなる前に金正恩氏に「誰を信じても良いが、中共だけは信じるな」と言ったとされる。
EUの消費者保護機関は違法販売で中国ECプラットフォーム「Temu」に是正を要求している。応じなければ罰金の可能性もある。
スペイン東部を中心に10月末に発生した集中豪雨で、1日までに200人以上の死亡が確認された
欧州連合(EU)は29日、31日から中国製EVに45%の関税を導入すると発表した。中国からの安価なEVによる市場の不均衡を是正することを目的としている。
NATOのルッテ事務総長は28日、ロシアに派兵された北朝鮮軍部隊がロシア・クルスク地域に配備されたことを確認したと明らかにした。米国防総省は、北朝鮮が戦闘に加わった場合、米国はウクライナによる米兵器の使用に新たな制限を課さないと発表した。