経団連(shutterstock)

経団連新会長に筒井義信氏が就任 夫婦別姓には現時点で言及せず

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)は29日、定時総会を開催し、日本生命保険前会長の筒井義信氏を新会長に選出した。これまで経団連会長は製造業出身者が多かったが、金融機関出身者が就任するのは初めてだ。

経団連はこれまで、選択的夫婦別姓の導入を強く推進してきた。2024年6月10日には、女性の活躍や国際ビジネスの障害となっている現行制度(民法750条)の見直しを求め、民法改正案の早期提出を政府に要請した。同年10月には「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるシンポジウム」を開催し、世論形成や政策推進に取り組んでいる。しかし、新会長の筒井義信氏は、2025年5月29日の就任時点で、夫婦別姓について、まだ具体的な発言をしていない。一方、国会では選択的夫婦別姓が政治問題として議論されており、自由民主党(LDP)内で約3年ぶりに議論を再開したが、保守派の反対により進展は限定的である。

筒井氏は就任にあたり、経済政策に重点を置いた発言を行っている。NHKは5月29日の記者会見を取り上げ、アメリカの関税措置による世界経済の不透明感への対応や、企業の賃金引き上げの流れの維持を強調。また、中小・中堅企業への支援、イノベーション推進、税・財政・社会保障改革、地方創生、労働市場改革、経済外交を重点政策として挙げた。筒井氏は「将来世代への責任を果たしたい」と述べ、持続可能な経済社会の構築に向けた取り組みを進める考えを示している。

▶ 続きを読む
関連記事
東京株式市場の前場で日経平均が下げ幅を拡大し、一時800円超の下落を記録。米株高後の過熱感から利益確定売りが膨らみ、植田日銀総裁の講演を前に投資家が警戒
金価格の高騰を背景に、日本への金の密輸が3年連続で急増している。片山さつき財務大臣は28日、税関で申告のない金について没収を可能とする制度改正を明らかにした。不正薬物以外の没収対象化は初めてであり、財務当局が金密輸を従来より深刻な脅威と捉えていることがうかがえる
ソニーや三菱自動車など多くの日本企業が中国で事業縮小や撤退を進行中。生産拠点は東南アジアやインドへの移転が目立つ
高市首相は、日米が南鳥島周辺海域でレアアース鉱物の共同開発を検討すると発表。経済・安全保障の強化を目的に日米が協定を締結し、中国依存脱却を目指す。
9月貿易統計では、半導体関連の輸出回復により5カ月ぶりの増加が確認されたが、輸入がそれを上回り、貿易赤字は3か月連続となった。円安進行が輸出企業の追い風となる中、高市早苗氏の政策スタンスが市場で注目を集めている。