最近の研究によると、1杯のシンプルな豆製品——1ドル未満で手に入るもの——が、健康なコレステロール値を取り戻す鍵になるかもしれません。
12週間にわたる研究において、参加者の毎日の食事にひよこ豆を取り入れたところ、糖尿病予備軍の人たちのコレステロール値が約15%も顕著に低下しました。同時に、黒豆を食べた参加者では、心臓病や糖尿病に関係する炎症マーカーが27%減少しました。
顕著な健康改善
この研究は、アメリカ栄養学会の年次会議「Nutrition 2025」で発表されたもので、糖尿病予備軍の成人72名を対象に行われました。参加者は無作為に3つのグループに分けられ、1日1杯の黒豆・ひよこ豆・または白米(対照群)をそれぞれ摂取しました。研究責任者であるイリノイ工科大学の博士課程学生、モーガン・スミス(Morganne Smith)氏は、研究の開始時・中間・終了時に、参加者のコレステロール、炎症マーカー、血糖値を測定しました。
スミス氏は声明で次のように述べています。「糖尿病予備軍の人は、脂質代謝の異常と慢性的な低度炎症を抱えていることが多く、これらは心臓病や2型糖尿病のリスク要因となります。私たちの研究では、豆類の摂取によってコレステロールの大幅な低下と炎症の軽減が確認されました。なお、血糖値には有意な変化は見られませんでした」
ひよこ豆を食べたグループでは、総コレステロール値が平均で200.4mg/dLから185.8mg/dLに低下しました。アメリカ心臓協会の基準によれば、この変化は「やや高め」から「正常値」への改善といえます。
また、黒豆を食べた参加者では、炎症指標の一つであるインターロイキン6(IL-6)の値が、開始時の2.57pg/mL(ピコグラム/ミリリットル)から1.88pg/mLへと、約27%低下しました。
ただし、研究では参加者の血糖マーカーに有意な変化は見られず、これは糖尿病予備軍の方々にとって重要な課題でもあります。
誰にとっても有益
「この研究は、豆類が糖尿病予備軍の成人にとって有益であることを示していますが、豆類はすべての人にとって健康的な選択肢です」とスミス氏は述べ、今回の結果が、栄養ガイドラインの提供や臨床医の助言、心臓病や糖尿病の予防を目的とした公衆衛生プログラムに役立つと強調しています。
研究チームは、缶詰、乾燥、冷凍いずれの形でもよいので、豆類を健康にあまり良くない食品の代わりに取り入れることを勧めています。ただし、購入時には塩や砂糖などの添加物が含まれていないかに注意するよう呼びかけています。
「日常の食事に豆類を取り入れることは、経済的で実践しやすい健康向上の方法です」とスミス氏は語ります。「豆類はスープのとろみ付けに使ったり、サラダにふりかけたり、ご飯やキヌアなどの穀物と組み合わせてもおいしくいただけます。
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今後、研究チームは黒豆とひよこ豆の摂取が腸内環境に与える影響についても研究を進め、腸内細菌と代謝健康との関連をさらに解明していく予定です。
なぜ豆類が有効なのか
ボストン大学の栄養学教授であり、『Nutrition & You(栄養とあなた)』の著者でもある管理栄養士ジョーン・サルジ・ブレイク(Joan Salge Blake)氏は、エポックタイムズの取材に対し、豆類はカリウムと食物繊維の優れた供給源であり、この2つの栄養素はアメリカ人の食生活で不足しがちだと述べています。
ブレイク氏は、豆類やひよこ豆には粘性のある水溶性食物繊維が豊富に含まれており、これが血中のコレステロール値の低下に寄与すると説明しています。
水溶性食物繊維は、腸内で胆汁酸の再吸収を妨げます。
「胆汁酸は胆のうから分泌され、脂肪の消化を助けるために腸に送られますが、多くのコレステロールを含んでいます」とブレイク氏は述べます。「繊維がこの胆汁酸を『キャッチ』して、体に再吸収される前に排泄させます」
最後に血液からのコレステロールを使って新たに胆汁酸を作り出して、流出した胆汁酸を補う必要が出てきます。
「ですから、血中コレステロールが減少してしまう」とブレイク氏は解説しています。
さらに、豆類に豊富な食物繊維は腸内環境を整え、抗炎症作用のある物質を生み出す腸内細菌のバランスをサポートします。また、豆類にはポリフェノールの一種であるアントシアニンなどの植物化学物質も含まれており、抗酸化・抗炎症作用があるとされています。
ブレイク氏はまた、豆類やひよこ豆はとても経済的な食材で、毎週の食費を節約する助けにもなると述べ、「物価が高騰する今、豆類はコストパフォーマンスの高い栄養源です」と付け加えました。
豆類には心臓に良い植物性たんぱく質も含まれています。ニューヨークのノースウェル・ヘルスシステム所属の栄養士エミリー・フェイヴァー(Emily Feivor)氏は、今回の研究には関与していないものの、「半カップの豆類には約7gのたんぱく質が含まれており、これは約28gの鶏肉に相当します」と述べています。
「植物性食品をより多く食事に取り入れることは、健康全般にさまざまなメリットがあります。私たちは皆さんにその実践を強く勧めます」とフェイヴァー氏は語りました。
ただし、豆類を急に大量に摂取すると、消化不良を起こす人もいるため、少しずつ増やしていくことが推奨されます。
栄養士たちは、ナトリウムが少ない缶詰や、自宅で調理する乾燥豆を選ぶよう呼びかけています。
フェイヴァー氏は、「『無塩』『低ナトリウム』と表示されている製品を選び、栄養成分表に糖が含まれていないか確認しましょう」と述べ、「塩や砂糖が含まれている場合は、食べる前にしっかり水で洗い流してください」とアドバイスしています。
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