2024年3月8日、北京の人民大会堂で開かれた中国の公式立法機関である全国人民代表大会(全国人民代表大会)第二回全体会議に、中共軍代表団が一列になって到着する。両会として知られる中国の年次政治集会では、指導者と議員が一堂に会し、その年の国内経済と社会の発展に関する政権の課題を定める(Kevin Frayer/Getty Images)
習近平による粛清は、台湾をめぐる計算をいかに書き換えるのか?

習近平の「軍粛清の正体」と誤算

中国共産党(中共)のリーダー、習近平による中共軍の粛清は、トップ層の服従を確実にした。しかし、それは実戦能力を犠牲にしてのことである。中国が台湾に攻め込めない理由は数十年前から変わっていない。兵站(ロジスティクス)の不備、経済的な脆弱性、そして米国を中心とした同盟関係が、今も大きな障害として立ちはだかっているからだ。

1月下旬、中共は中央軍事委員会副主席で政治局員でもある張又侠(ちょう・ゆうきょう)への調査を開始した。憶測は汚職や派閥争いに集中しているが、その深層にある真の目的は、毛沢東やスターリンがかつて行ったように、異論を許さない徹底した思想統制と、自らの権力を盤石にするための組織の再構築にあると思われる。

これまでの党による調査の実態を見れば、一度ターゲットになれば逃げ場はない。張が有罪とされ、軍から追放されるのはもはや既定路線であり、その確率は100%に近い。

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