習近平による粛清は、台湾をめぐる計算をいかに書き換えるのか?
習近平の「軍粛清の正体」と誤算
中国共産党(中共)のリーダー、習近平による中共軍の粛清は、トップ層の服従を確実にした。しかし、それは実戦能力を犠牲にしてのことである。中国が台湾に攻め込めない理由は数十年前から変わっていない。兵站(ロジスティクス)の不備、経済的な脆弱性、そして米国を中心とした同盟関係が、今も大きな障害として立ちはだかっているからだ。
1月下旬、中共は中央軍事委員会副主席で政治局員でもある張又侠(ちょう・ゆうきょう)への調査を開始した。憶測は汚職や派閥争いに集中しているが、その深層にある真の目的は、毛沢東やスターリンがかつて行ったように、異論を許さない徹底した思想統制と、自らの権力を盤石にするための組織の再構築にあると思われる。
これまでの党による調査の実態を見れば、一度ターゲットになれば逃げ場はない。張が有罪とされ、軍から追放されるのはもはや既定路線であり、その確率は100%に近い。
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