中国共産党(中共)の全国人民代表大会(全人代)常務委員会会議が2月26日に閉幕した。会後に発表された公告により、軍の将官9人を含む19人の全人代代表職が解任された。しかし、大きな注目を集めていた張又侠と劉振立の名はそこにはなかった。
全人代常務委員会は、一度に19人の全人代代表職を罷免した。その中には、沈金龍(元海軍司令員)、秦生祥(元海軍政治委員)、于忠福(元空軍政治委員)、李橋銘(元陸軍司令員)、李偉(元情報支援部隊政治委員)の5名の上将を含む、9名の軍将官が含まれている。このほか、中将1名と少将3名も罷免された。
これら9名のうち、李橋銘氏と李偉氏は共産党第20期中央委員であるが、いずれも昨年10月の四中全会を欠席していた。退役上将である沈金龍氏、秦生祥氏、于忠福氏は第20期中央委員ではないが、現職の全人代常務委員であり、近年の常務委員会会議を欠席し続けていた。
在米の時事評論家・唐靖遠氏は次のように指摘する。「彼らに異変が起きたことは以前から予想されていた。今回の代表権および代表資格の剥奪は、公式な発表がなされたに等しい。全人代代表を罷免されるということは、役人の『黄馬褂(こうばかい:権力の象徴としての官服)』を脱がされたことを意味し、次は司法手続き、つまり逮捕や起訴へと進むことになるだろう」
時事評論家の李林一氏は、今回の動きにおけるいくつかの注目点を分析している。
中国問題専門家の李林一氏はこう述べる。「第一の注目点は李橋銘だ。彼は張又侠によって引き立てられた人物であり、部下が上司である張又侠よりも先に代表資格を剥奪された事例となった。これは共産党内部の権力闘争が依然として激しいことを物語っている。第二の注目点は李偉だ。李偉はもともと戦略支援部隊の政治委員だった。2024年の改編で情報支援部隊の政治委員となったが、彼も失脚した。新設されたばかりの部隊において、初代政治委員がいかなる理由であれ失脚することは、部隊にとって極めて不吉な兆候であり、士気に大きな打撃を与える」
海・陸・空の元トップたちが次々と「黄馬褂」を剥ぎ取られた。その中には、習近平自らが軍委員会機関に送り込み、統合参謀部へと抜擢した「軍改革の仕掛人」である秦生祥も含まれている。李林一氏は、これが習近平の進めてきた「軍改革」の失敗をさらに裏付けるものだと見ている。
しかし、今回のリストに中央軍事委員会副主席の張又侠と、同統合参謀部参謀長の劉振立の名前は含まれていなかった。両者は1月24日に国防部から突如として失脚が発表された。軍報が連日激しい批判記事を掲載しているものの、五大戦区はいまだに「中央の決定を支持する」との表明を行っておらず、軍内には異様な空気が漂っている。
李林一氏はこう分析する。「全人代が(罷免を)進めなかったということは、共産党内部で張又侠と劉振立の事件に対する罪状の定義が、最終的に確定していないことを示している。拘束されているのは間違いないだろうが、最終的に汚職で裁くのか、官職の売買で裁くのか、あるいは『軍事委員会主席責任制の踏みにじり』として裁くのかが定まっていないのだ。もちろん、軍側が罷免を要求したものの、趙楽際(全人代委員長)側と習近平側の意見が食い違い、全人代が動かなかったという可能性もあるが、その確率は相対的に低いだろう」
これに先立ち、全人代は2月4日に臨時会議を開き、「一部代表の代表資格に関する報告」を審議した。当時は張・劉両氏の罷免が予想されていたが、結果として罷免されたのは無名の軍工企業の腐敗幹部3名のみであった。今回、張・劉両氏が再び「黄馬褂」を維持したことで、彼らは引き続き司法特権を享受することになる。
在米の時事評論家・鄭浩昌氏は次のように語る。「これは、軍事委員会レベルの『熱いジャガイモ(扱いに困る難題)』を、習近平がうまく扱いきれていないことを示している。習近平にとって人を拘束すること自体は難しくないように見えるが、内心は非常に不安定だ。現役の有力な軍事委員を捕らえることは、軍事委員会主席である彼自身が、自分の足元の石柱をハンマーで叩き壊すようなものだ。石柱が砕ければ、彼自身も転落するのではないか。ゆえに、処理にあたって二の足を踏んでいるように見える」
習近平による軍の浄化の規模は、国際的な注目を集めている。24日、二つの国際的なシンクタンクが報告書を発表し、「習近平は自軍の内部で政治的な内戦を引き起こしている」と形容した。この大規模な粛清は、中国共産党軍の指揮能力と戦備レベルを弱体化させた可能性があり、さらにこの粛清はまだ終わっていないと指摘されている。
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