中国の「フレキシブル就業」人口が3億人超に 実態は失業の隠蔽

2026/06/10 更新: 2026/06/10

中国本土で「フレキシブル就業(柔軟就業)」に従事する人口が3億人を超えたとする報告書が公表された。中国ウォッチャーらは、中共がこうした呼称を使って実態を覆い隠し、深刻な失業問題を矮小化していると指摘する。

北京に拠点を置く研究機関「中国新就業形態研究センター」が発表した「2025年中国ブルーカラー就業研究報告」によると、中国における柔軟就業従事者数は2025年に2億8千万人に達し、2026年には3億2千万人に達する見通しで、都市部就業者全体の40%以上を占めるという。中国国有の主要経済メディア「第一財経」が6月4日に報じた。

同報告書は2万8450件の有効回答を基に作成され、フードデリバリー員、家事労働者、トラック運転手、ライブ配信者、宅配員、製造業・建設業従事者、清掃員、警備員など幅広い職種を対象としている。

中国在住のエコノミスト、劉安さん(仮名、当局による報復を恐れ匿名)は大紀元の取材に対し、中国の公式就業統計には「不安定就業」者が大量に含まれていると指摘した。

「中国の就業人口は総計約7億3400万人だが、柔軟就業者だけで3億人に上り、出稼ぎ労働者(農民工)もほぼ同数に達する。両者の重複部分は大きいが、公式統計上の就業者の相当部分が安定した職に就いていないことを示している」と述べた。

固定ポスト、安定した賃金、労働契約、社会保険加入といった基準で測れば、真に安定した雇用にある人口は公式の就業総数を大幅に下回る可能性があると劉さんは語った。

報告書によると、中国のブルーカラー労働人口は2025年に4億2700万人となり、2024年の4億2500万人から約0.5%増加した。このうち家事労働者は4680万人、フードデリバリー員は1590万人に達した。報告書はさらに、柔軟就業が労働市場の「補完的形態」から「主要な柱」へと変容したと指摘している。

中国在住の労働問題観察者、陶偉(仮名、報復を恐れ匿名)さんは大紀元の取材に対し、ギグワーカー、非常勤スタッフ、プラットフォーム就業者、露天商、固定雇用のない者を「柔軟就業」の傘下に一括することで、中共が雇用の統計的定義を拡張していると指摘した。

「欧米の労働統計基準や社会政策に照らせば、こうした人々の多くは非標準・非公式就業や不完全就業に分類されるはずだ」と述べた。

陶さんはまた「週に数時間しか働かず、自活に足りない収入しか得られない人でも就業者に算入するなら、実態の失業状況把握には何ら役立たない」と語った。

報告書のデータによると、ブルーカラーとホワイトカラーの平均月収格差は2013年のピーク時の3344元(約7万1千円)から、2025年には2250元(約4万8千円)まで縮小した。高収入ブルーカラー職種には産後ケア専門員(月平均1万128元、約21万6千円)、フードデリバリー員(同8325元、約17万8千円)、トラック運転手(同8279元、約17万7千円)などが含まれるという。

国有メディアがブルーカラーの収入増加を強調する傾向は、中国における所得格差の拡大を覆い隠すと、中国本土在住のライター(報復を恐れ姓のみ公表)の趙氏は指摘する。「産後ケア専門員やデリバリー員、トラック運転手の中に比較的高収入の人がいるとしても、ブルーカラー全体が高賃金であることを意味しない」と大紀元の取材に答えた。

「多くの場合、こうした収入は過度な長時間労働と身体的疲弊の代償だ。配達員は配達件数を増やせば増やすほど交通リスクが高まる。トラック運転手は表向き相応の賃金を得ているように見えても、燃料費・車両ローン・プラットフォーム手数料・罰金といった費用を自己負担しなければならない」と語った。

趙氏は「疲労困憊状態での連続運転を続けながら、週収が2千元(約4万3千円)に満たないトラック運転手を見てきた」とも述べた。

中国各地の配達員が大紀元の取材に明かしたところでは、実際の月収は公式統計を大きく下回り、社会保障も乏しい実態がある。

統計操作による実態隠蔽

2017年4月9日、中国河北省石家荘で、習近平国家主席と「中国夢」の文字が書かれた看板の前でスニーカーなどを販売する露天商(Kevin Frayer/Getty Images)

中国の景気後退が広範な失業を招いているにもかかわらず、当局は数字を操作して実態を国民に誤魔化していると趙氏は指摘する。中共はこの問題で常に言葉を操作してきたと言い、「改革開放(1978年)当時、中国では膨大な数の若者が職に就けない状態にあったが、当局は『失業』という言葉を使わず、『就業待機』『配属待機』『社会青年』といった言い換えをした。共産党は、一党独裁体制のもとで失業が存在するという事実を認めたくなかったから、ただ言葉を変えただけだ」と述べた。

「今日も同じことをしている。実際の失業者数はずっと多いが、親に養ってもらっている人が多く、公式統計には含まれていない」と語った。

中国の若者の失業率は2023年6月に過去最高の21.3%を記録し、これを受けて当局はこのデータの公表を停止した。2023年12月以降、国家統計局は統計手法を修正し、在学中の学生(卒業間近の学生数千万人を含む)を除外した形で若年失業率の公式データを発表している。

(孫誠が本記事の取材に協力した)

Alex Wu
エポックタイムズの在米ライター。専門は中国社会、中国文化、人権、国際関係。
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