2月9日、高市早苗首相(Franck ROBICHON / POOL / AFP via Getty Images)

高市氏 自衛隊明記へ  中共は「軍国主義」と批判し宣伝強化

高市早苗首相は歴史的な大勝を受け、憲法改正の実現に意欲を示した。これに対し、中国共産党(中共)の機関紙は、日本が「軍国主義の道を再び歩もうとしている」と批判を強め、中共海警局の船も尖閣諸島周辺の海域に進入した。専門家は、日本の憲法改正の目的は侵略ではなく、防衛力と抑止力の強化にあると指摘している。

日本では2月18日に特別国会が召集され、首相指名選挙が行われる。自民党の高市総裁が指名される見通しで、第2次高市内閣は同日に発足する予定だ。閣僚はおおむね留任となる公算が大きい。

8日の衆院選で、高市氏が率いる自民党は衆院選で316議席を獲得し、単独で衆院の3分の2を超えた。これにより、憲法改正案の発議や、参議院で否決された法案の再可決が可能となる。

高市氏は選挙後、「国の理想の姿を物語るのは憲法です。この国の未来をしっかりと見据えながら、憲法改正に向けた挑戦も進めてまいります」と述べ、改憲への意欲を示した。

自民党が公表している改憲案は、「自衛隊の明記」「緊急事態条項の創設」「合区解消・地方公共団体」「教育の充実」の4項目が柱だ。

中でも、自衛隊の憲法明記は議論を呼んでいる。自民党は、憲法9条の「一切の戦争を放棄する」「戦力を保持しない」原則を維持したうえで、自衛隊を明記するとともに自衛の措置(自衛権)についても言及すべきだとしている。

台湾国防安全研究院の沈明室研究員は、「日本が自衛隊の正常化を目指すのは、当然ながら直面する脅威と関係がある。中共による直接的な脅威、あるいは台湾海峡への脅威によって、日本は自らも巻き込まれ、影響を受けるという危機感を抱いている」と指摘する。そのうえで、「これは小野田紀美氏の発言とも一致する。経済や防衛分野への投資を防衛力の強化に振り向けているのは、他国を侵略するためではなく、中共の拡張によって台湾有事が日本有事へと波及する可能性があるため、日本はそれに備えて早めに準備を進めている」と述べた。

台湾国立台湾師範大学東アジア学科の林賢参教授も、「その考え方は完全に正しい。実力という裏付けのない平和や外交は、決して信頼に値するものではない。安倍元首相が2014年に安全保障法制の整備に動き出した際、繰り返し抑止力を高め、戦争を未然に防ぐと強調した」と述べた。

10日、中共軍は初めて公式に反応した。中共国防部の蔣斌報道官は、日本の右派勢力が「軍国主義の道を再び歩もうとしている」と主張した。同日、中共海警局は、海警船の編隊が尖閣諸島の「領海」内を巡航したと発表した。高市氏の大勝後、中共海警船が尖閣周辺海域に進入したのは初めて。

インド太平洋戦略シンクタンクの矢板明夫CEOは、台湾教授協会の座談会で、これは中共による「対外プロパガンダ」と認知戦の一環だと明言した。高市氏を「平和主義者だ」としたうえで、日本は日米安全保障条約の枠組みのもとで行動しており、台湾有事の際にアメリカ軍を後方支援する体制を整えることが目的で、他国への侵略ではないと強調した。

沈氏はまた、「中共の対日措置は、多くの日本人の対中感情を悪化させている。高市早苗氏本人もその一人だ。日中関係において、むしろ中国側が特定の制裁項目で譲歩する可能性がある」と指摘した。「中国が譲歩したら、日本側がさらに強硬になることはないだろう。ただし、日本側は中共政権の本質を深く理解することになる。それゆえ、日本が将来的にいかなる事案においても、容易に譲歩することはないはずだ」と述べた。

国立政治大学国際事務学院の李世暉教授は、「現在、最も難しい立場にあるのは北京だ」と分析する。「この時期に日本と全面的に対立することは望んでいないが、高市氏との関係構築の糸口を見いだせていない。もちろん日本は短期的に中国と完全に切り離すことはできず、中国も経済面で日本とデカップリングすることはできない。中国にとって、アメリカとの長期的な競争を続ける中で、いかに日本との良好な関係を維持するかを考えざるを得ない状況だ」と述べた。

日本の憲法改正のハードルは高い。改正案は衆参両院でそれぞれ3分の2以上の賛成を得たうえで、国民投票で承認されて初めて成立する。

高市氏は来月、アメリカを訪問し、トランプ米大統領と会談する予定である。日米同盟を軸に他の同盟国との連携を強化する方針をも示している。

さらに、国家情報局の創設や、対日投資を審査する委員会設置、安全保障関連3文書の前倒し改定に取り組む考えを示し、「自分の国は自分で守る」との姿勢を打ち出している。

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