ホルムズ海峡(新唐人テレビ)

イラン戦争における中共の「隠れた介入」 電子戦が左右する戦局

中東での衝突は、世界の多くの国に波及効果をもたらしている。その中で、中国共産党(中共)の動きが注目を集めている。英BBCの番組「セキュリティ・ブリーフィング」は最新の報道で、中共の電子偵察船「瞭望1号」がオマーン湾で米軍を監視しており、さらにイランに防空システムを提供していると指摘されていると伝えた。

では、中共がイランにおいて持つ主な戦略的利益とは何か。北京はすでにこの衝突に「隠れた形で介入」しているのか。そしてそれは米軍の作戦計画にどのような実質的影響を及ぼし得るのか。本稿ではこれらを詳しく分析する。

複数の軍事関連のメディアはすでに3月初旬の時点で、米国とイランの戦闘が激化する中、中共が3万トン級の電子偵察船「瞭望1号」をオマーン湾に派遣したと報じている。同艦は米軍の空母打撃群、駆逐艦、戦闘機を監視し、その情報をリアルタイムで北京当局へ送信しているという。

オマーン湾はペルシャ湾とアラビア海を結ぶ要衝で、米軍の空母が常駐する海域でもあり、中東地域の中核的観測地点である。そのため、中共の電子偵察船の出現は決して偶然ではなく、中共がイランに情報提供を行っている可能性が高いと見られる。

台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」国防戦略与資源研究所 蘇紫雲所長

「瞭望シリーズの艦船は、他国が演習を行えば必ず現場に現れて監視し、その電子情報を収集して将来の電子戦に備える。これが主な目的である。また、それらの情報がイランに漏洩されている可能性も排除できない。さらに、イランがイラクやサウジアラビアにある米軍基地の航空機に対して精密攻撃を行えるのは、中共の衛星画像データのおかげだと考えられる」

もしこれが事実であれば、米軍の大半の動きが中共およびイランに把握されていることを意味し、米軍の電子戦における優位性や作戦のテンポがある程度削がれる可能性がある。

台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」の副研究員 謝沛学氏

「その結果、米軍が攻撃任務を遂行する際には、電子的特徴をより頻繁に変更する必要が生じるか、あるいはより強度の高い電子妨害を行う必要が出てくる。これにより作戦の複雑さとリスクが増大する」

さらに、米国の情報機関は、中共が短期間のうちにイランへ携帯式防空ミサイルを供与する可能性が高いと分析している。その中には「HN-6」や、より高性能な「QW-12(前衛12)」などが含まれるとされ、これらは米軍の低空飛行ヘリコプターや無人機への対抗手段として運用されるとみられている。

ただし専門家は、米軍がすでに戦力の配置を調整しているため、これらの兵器が米軍の航空上の優勢を根本的に覆すことは難しいと見ている。一方で、中共による一連の対イラン支援は、中東における自らの戦略的配置を強化する狙いがある。

蘇紫雲氏

「中共はイランを通じて安価な石油を確保できると同時に、中東における国際政治上の影響力を築くことができる。今回もしイランが弱体化すれば、北京にとっては大きな損失となる。なぜなら一帯一路構想のもとで数千億規模の投資をイランに行うとされているからだ。中共の中東における地政学的利益が失われれば、それは北京にとって重大な打撃となる」

さらに専門家は、戦争を評価する際には、戦術や技術だけにとどまるべきではなく、より根本的な問題である正当性と価値判断に立ち返る必要があるとし、中共が擁護するイランは、現行の国際秩序に対して公然と挑戦している存在であると指摘している。

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