【分析】孔子学院閉鎖後も続く中共の教育浸透 米公立学校に新たな影響力工作

2026/06/02 更新: 2026/06/02

中国共産党による米国の教育現場への影響力工作が、「孔子学院」に代わる新たな形態で継続しているとの懸念が浮上している。かつて大学キャンパスで展開された孔子学院は相次いで閉鎖されたが、その後は非営利団体や文化交流事業を装った組織を通じて活動が続けられているとの指摘が出ている。米国の公立学校で使用される中国語教育プログラムも、中共の影響を受けている可能性があるという。

中共は2004年から米国の大学内に孔子学院を設置し始めた。さらに全米の小中高校と連携し、約500の「孔子課堂(教室)」を展開した。しかし、米議会などから中共のプロパガンダ機関との批判が高まり、ほぼすべての孔子学院が閉鎖されたことで、問題は収束したかに見えた。

ところが、教育政策アドバイザーで中国問題の専門家でもあるジェニファー・リッチモンド氏はこのほど、米紙「ヒル」への寄稿で、2022年の「全米学者協会(NAS)」の報告書を引用し、多くの孔子学院が名称変更や第三者機関を介した運営によって存続し、引き続き米国の学生に中共のイデオロギーを浸透させていると明かした。

その代表例として挙げられるのが、米バージニア州の非営利教育団体「文化橋梁センター(Center for Bridging Cultures)」である。公立学校関連の資料によると、同センターは中国人教師を米国の教室へ派遣し、生徒や教育関係者の訪中交流を企画している。また、大学や中国当局との協力関係を維持し、かつての孔子学院関連事業を引き継いでいるという。

「文化橋梁センター」は孔子学院の後継組織か

リッチモンド氏は、文化橋梁センターが孔子学院の後継組織であると公式に認定されているわけではないとしながらも、両者の継続的な関係を示す公開情報は少なくないと指摘する。

まず人事面でのつながりが挙げられる。同センターは2021年、米国各地で孔子学院の閉鎖が進む中で設立された。執行主任を務める高慶氏は、全米の孔子学院を統括するワシントンの「孔子学院米国センター」の責任者を長年にわたり務めてきた人物である。

米国務省は、孔子学院米国センターを孔子学院総本部の実質的な出先機関と認定している。さらに2020年8月には、孔子学院総本部を中共の海外宣伝・影響力工作を担う組織と位置付け、中共政権の在外公館に準ずる存在と認定した。

文化橋梁センターと中共との資金関係については現時点で明確ではない。同センターは非課税の非営利団体として運営されており、寄付者の情報を一般に公開する義務はない。ただし、米内国歳入庁(IRS)への年次報告では寄付情報の提出が求められている。

一方、中共の管理下にある北京語言大学の公式サイトには、文化橋梁センターが「世界機関」の一つとして掲載されている。このカテゴリーには、かつて米国内の多くの孔子学院も含まれていた。サイト上では、同センターが孔子学院の担っていた役割を引き継いでいることも明記されている。

北京語言大学との関係

北京語言大学は過去20年間にわたり孔子学院の主要な支援機関として活動し、世界29か所の孔子学院と提携してきた。中共側の優秀パートナーとして複数回表彰された実績もある。

同大学の説明によれば、文化橋梁センターは全米を対象に活動しており、孔子学院や孔子課堂が提供してきた中国語教育プログラムを継承・拡大するうえで重要な役割を果たしているという。

北京語言大学は中共教育部の直属機関であり、その組織図には中共統一戦線工作部が組み込まれている。米国務省は統一戦線工作部について、海外での影響力工作や浸透活動を担う組織であり、中共への反対勢力を弱体化させることを目的としていると指摘している。

透明性欠如に懸念

文化橋梁センターの実態を知る手掛かりとして、2022〜24年までの米歳入庁向け年次報告書(フォーム990)がある。寄付者の氏名は公表されていないものの、総額250万ドル以上の寄付金を受け取り、その資金が複数の公立学区、私立学校、コミュニティーカレッジ、私立大学、中国語学習プラットフォーム、さらにはワシントン州の中国語イマージョン教育を行うチャータースクールなどへ配分されたことが記載されている。

同センターはまた、米国の校長や教育行政担当者向けに12日間の中国教育視察プログラムを積極的に売り込んでいるほか、「米中友好学校プログラム」を通じて米中両国の学校同士を姉妹校として結び付ける事業も推進している。

リッチモンド氏は、多くの州や地方教育当局は中共との提携を敬遠する傾向にあるものの、こうした組織の活動実態が不透明なため、保護者や立法関係者が実情を把握できていないと指摘する。

連邦議会では、外国勢力の影響について保護者への情報開示を求める「トレーサビリティ法」が成立しているが、文化橋梁センターのような名目上は独立した非営利団体まで開示対象に含まれておらず、法改正の必要性も議論されている。

同氏は制度上の抜け穴を防ぐため、米歳入庁IRSが非課税団体の認定審査を強化し、申請団体が米国防総省や商務省の対中制裁リスト掲載企業・団体と関係を有していないかを厳格に調査すべきだと提言した。

最後に同氏は、「改革には多大な努力を要するが、米国はもはや傍観者であってはならない。中国共産党による価値観や世界観の浸透を子供たちに許してはならない」と警告している。

李平
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