なぜ「自分を許す」ことはこんなにも難しいのか

何年も前に起きた出来事なのに、心の中で何度も繰り返し思い出し、罪悪感や自責の念が、なかなか消えないことがあります。

なぜ「自分を許す」ことは、これほど難しいのでしょうか。心理学者たちは、その答えは、過去をどう捉えるか、責任をどう引き受けるか、さらには「自分とは何者か」という問いと関係している可能性があると指摘しています。

心理学でいう「自分を許す(セルフ・フォーギブネス)」とは、自分も間違いを犯す存在であることを認め、責任を引き受ける姿勢を保ちながら、罪悪感や恥、自責といった否定的な感情を、少しずつ手放していくことを指します。しかし現実には、多くの人がこの段階で立ち止まってしまいます。

この理由を探るため、オーストラリアのフリンダース大学の心理学者リディア・ウッディアット氏の研究チームが調査を行いました。

分析の結果、自分を許せるかどうかは、主に4つの要因と関係していることが分かりました。

1. 過去にとらわれやすいこと

自分を許せない人は、時間がどれだけ経っても、失敗したときの場面が頭の中で繰り返し再生されます。一方で、自分を許せる人は、現在や未来に意識を向ける傾向があります。

この場合、少し視野を広げ、気持ちを楽にすることが助けになります。

2. 責任感が強すぎること

他人に与えた影響を重く受け止めすぎると、その責任感が手放せなくなります。

もし自分自身も被害者だった場合、自責の気持ちはさらに強まりやすくなります。一方、自分を許せる人は、責任を引き受けながらも、自分の不完全さを受け入れることができます。

3. 自分の道徳観との衝突

「なぜ自分はこんなことをしてしまったのか」と、自分の価値観に反する行動を受け入れられず、自己嫌悪に陥ってしまう場合があります。自分を許せる人は、「人は成長の過程で失敗するものだ」、「次は同じことを繰り返さない」と考え、前を向こうとします。

4. 気分が落ち込んでいる状態への対処

気持ちが沈んでいるときには、友人と話をしたり、心理的なサポートを受けたりすることが勧められます。

では、自分を許すことは本当に大切なのでしょうか。

スタンフォード大学医学部によると、自分を許せる人は、心理的に安定しやすく、より良い人間関係を築きやすいとされています。

また、自分を許すことと同じように、他人を許すことも重要です。怒りや後悔、恨みを抱え続けることは、結果的に自分自身や身近な人を傷つけてしまいます。許すこと、手放すこと、受け入れることは、心と体の健康にとって確かに助けになります。