処暑を過ぎると、暑さは少しずつ退いていきます。
ただ、この時季には次のような変化を感じる人も少なくありません。
- 肌や唇が乾燥しやすい
- 喉が少しかゆく、時々乾いた咳が出る
- 以前ほど暑くないのに、なんとなく元気が出ない
中医学では、これは「乾燥の影響が肺に及んでいる状態」と捉えます。
処暑は、夏から秋へ移り変わる節目です。暑さはまだ残り、秋の乾燥はすでに始まっています。
肺は乾燥を嫌う臓腑です。乾燥の邪気は口や鼻から入りやすく、最初に影響を受けやすいのが肺や呼吸器です。
対策はとてもシンプルです。
乾燥を潤し、肺を養うこと。その第一歩として、一杯のやさしい甘いスープから始めてみましょう。
今日の主役:梨 × 白きくらげのスープ
これは、処暑の時季にとてもよく合う定番の食養生スープです。
食材は素朴で、作り方も簡単です。けれど、それぞれの食材が持つ薬膳的な意味を知ると、この一杯は肺を潤し、乾燥をやわらげ、陰を養って水分を補う「処暑の養生スープ」になります。
主役の食材|梨・白きくらげ・氷砂糖・クコの実

梨
性質:涼
味:甘、微酸
帰経:肺・胃
梨は、処暑を代表する食材の一つです。
体のうるおいを生み、喉の渇きを癒し、肺を潤して余分な熱を冷まし、痰や咳をやわらげる働きがあるとされています。
秋の乾燥による乾いた咳、喉のかゆみ、口の渇きには、梨はとても取り入れやすい自然な対策です。
加熱すると性質がより穏やかになり、胃腸が敏感な人でも食べやすくなります。
ミニポイント:梨は皮をむかずに使うのがおすすめ。梨の皮にも肺を潤す働きがあるとされ、皮ごと煮るとより季節に合った一品になります。
白きくらげ
性質:平
味:甘
帰経:肺・胃・腎
白きくらげは、「庶民の燕の巣」とも呼ばれる滋養食材です。
陰を養い、肺を潤し、胃を養って体のうるおいを生み、腎を補って体を支える働きがあるとされています。
植物性のゼラチン質を豊富に含み、体の内側からうるおいを補う食材として、秋の乾燥による肌の乾き、口の渇き、便秘などが気になる時期に向いています。
ミニポイント:白きくらげは、あらかじめ冷水で30分ほど戻しておきます。煮込むと、とろりとしたゼラチン質が出やすくなり、口当たりもなめらかになります。
氷砂糖
性質:平
味:甘
帰経:肺・脾・胃
氷砂糖は、肺を潤し、咳をやわらげ、中を補って気を養う食材とされています。
梨や白きくらげと合わせることで、味を整えるだけでなく、スープ全体の「肺を潤す」働きをやさしく引き立てます。
使いすぎず、ほんのり甘い程度に仕上げるのがおすすめです。

クコの実
性質:平
味:甘
帰経:肝・腎・肺
クコの実は、肝と腎を養い、精を補い、目をすっきりさせ、肺を潤す食材とされています。
処暑の時季に加えることで、乾燥を潤しながら、夏に消耗した精気を少しずつ補う助けになります。
鮮やかな赤色が、淡い色合いのスープに映えるため、見た目のアクセントにもなります。
この一杯の薬膳的な組み立て
梨:涼性で甘酸っぱく、肺・胃に関わり、肺を潤して熱を冷まし、咳をやわらげ、うるおいを生みます。
白きくらげ:平性で甘く、肺・胃・腎に関わり、陰を養って肺を潤し、体にうるおいを補います。
氷砂糖:平性で甘く、肺・脾・胃に関わり、肺を潤して咳をやわらげ、全体の味を調和させます。
クコの実:平性で甘く、肝・腎・肺に関わり、精を補い、気を養い、肺を潤して目をすっきりさせます。
全体としては、肺を潤し、陰を養い、余分な熱を冷まし、体のうるおいを生み、乾燥をやわらげる組み合わせです。
作り方
材料 2人分
・梨 1個 約250g
・白きくらげ 乾燥 10g
・クコの実 大さじ1
・氷砂糖 20g ※好みで調整
・水 800ml
手順
- 白きくらげは冷水で30分ほど戻し、根元の硬い部分を取り除いて、小さめにちぎります。
- 梨は芯を取り、皮ごと乱切りにします。
- 鍋に水と白きくらげを入れ、強火にかけます。沸騰したら弱火にし、20分ほど煮込みます。
- 梨と氷砂糖を加え、さらに弱火で15分ほど煮ます。
- 最後にクコの実を加え、3分ほど煮たら完成です。
- 温かいうちに食べても、少し冷ましてから食べてもよいでしょう。
処暑の食養生、3つのポイント
1. 白い食材を多めに取り入れる
中医学では、白い色は肺に通じると考えます。百合根、白きくらげ、山芋、豆腐、梨など、処暑を過ぎたら白い食材を意識して取り入れることが、最も簡単な肺の潤し方です。
2. 辛いものを控え、肺の気を守る
辛いものは発散する力が強く、気を消耗しやすいとされます。秋の乾燥が始まる時季は、肺の気も弱りやすいため、辛いものを取りすぎると、乾いた咳や肌の乾燥を強めることがあります。
3. 温かく食べて、胃腸を守る
秋に入ると、胃腸も少しずつ弱りやすくなります。甘いスープは、できれば温かく食べるのがおすすめです。冷たい飲み物や冷たい食べ物で胃腸を冷やすと、せっかくの潤す働きも生かしにくくなります。
薬膳は、特別なものではありません。
梨と白きくらげを煮込んだ一杯のシンプルなスープこそ、処暑の時季にふさわしい、身近な食卓の養生です。
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